ホンダが2026年3月期に上場来初の赤字に転落し、三部敏宏社長の続投をめぐって水面下で激しい駆け引きが繰り広げられた。東洋経済オンラインの横山隼也記者が、5月に公表された取締役人事や急浮上した次期社長の最有力候補など、舞台裏を詳しく解説した。
赤字転落と三部社長への風当たり
EV(電気自動車)戦略の誤算から大幅な戦略修正を迫られたホンダ。2026年3月期は上場以来初の赤字を計上し、経営の正念場を迎えている。三部社長は「早期に止血をしながら将来の成長に結びつける」と陣頭指揮に意欲を示すが、社内では退任を求める声がくすぶる。
三部社長は社内メッセージを発信したが、中堅幹部は「社員の心に響かないのでは」と疑問視。開発部門の社員からは「顧客を見ていたのか」と厳しい声が上がった。赤字転落の責任を問う空気が強まっている。
有力OBが動いた社長続投の紆余曲折
社長続投が決まるまでには曲折があった。元社長で有力なOBが三部社長に退任を勧告したという。このOBはホンダの長期的な方向性に懸念を抱き、世代交代を促したとみられる。しかし、最終的には三部社長の続投が決定。取締役会の議論を経て、現体制での立て直しが選択された。
関係者によると、OBの動きは一部の取締役にも影響を与えたが、現経営陣の支持も根強く、続投に至った。
役員人事のポイントと四竈氏の急浮上
5月に公表された役員人事では、関係者も驚く変更点があった。特に注目は、四竈龍一氏が「企業変革責任者」に任命されたことだ。四竈氏は40代のキーマンで、次期社長の最有力候補とされる。同氏は電動化戦略の見直しやコスト削減などの改革を主導する役割を担う。
横山記者は「四竈氏が一気にキーパーソンになった」と指摘。今後のホンダの方向性を左右する存在として、株主総会での賛同を得られるかが焦点となる。
ホンダの目先の焦点
ホンダの目先の課題は、赤字からの早期脱却とEV戦略の再構築だ。三部社長の続投が決まったものの、業績回復が遅れれば株主や社内からの圧力が再び強まる可能性がある。次期社長と目される四竈氏の手腕が、ホンダの未来を左右する。



