証券取引等監視委員会(監視委)は、ある投資助言業者が顧客に対し、保有する国内株式を売却し、その資金で暗号資産を購入するよう助言していた案件を摘発した。この業者は、会社として暗号資産を推奨しないと決めていたにもかかわらず、営業現場では独自の判断で顧客に暗号資産への投資を勧めていたという。
恒常的な赤字経営と外部協力者の支配
監視委の調査によると、当該業者は恒常的に赤字経営を続けており、営業現場は外部協力者の影響を強く受けていた。会社の方針と現場の実態に乖離があり、経営陣は営業員の具体的な助言内容を把握していなかった。
資産運用立国と暗号資産の不協和音
政府が掲げる「資産運用立国」の目標と、暗号資産を推奨する営業行為との間に不協和音が生じている。監視委は、投資家保護の観点から、このような不適切な助言が市場の信頼を損なうと警鐘を鳴らす。
金融ジャーナリストの川辺和将氏は、「監視委は『市場の番人』として、投資家保護と市場機能の健全化を使命としている。今回の摘発は、その権限を適切に行使した事例だ」と指摘する。
制度整備と成長の乖離
暗号資産市場の成長に伴い、制度整備が追いついていない現状が浮き彫りになった。監視委は今後も、不公正な取引の監視を強化し、必要に応じて金融庁への課徴金納付勧告や刑事告発を行う方針だ。



