6月16日、日経平均株価が一時7万円台に到達した。しかし、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は、一般的に参照されるPER(株価収益率)だけを見て楽観するのは危険だと警告する。日経平均プロフィルで確認できる「指数ベースPER」が、すでに8カ月前から警戒水準にあるからだ。
PERの基本:利益にキャピタルゲインは含まない
PERは株価を1株当たり利益(EPS)で割って算出する。日本経済新聞社の用語解説でも、PERは「株価を1株当たり利益で割って算出」し、通常は「今期の予想1株当たり利益に基づく予想PERを使う」と説明されている。つまり、PERの「利益」は企業の純利益であり、投資家が将来得るかもしれない値上がり益(キャピタルゲイン)は含まれない。
加重平均PERは17~18倍、基準値内
日経平均プロフィルでは「加重平均PER」と「指数ベースPER」の2種類が確認できる。加重平均PERは5月半ば以降17~18倍台で推移しており、一般的な基準値15倍から大きく乖離していない。これだけ見れば「株式市場が過熱しているわけではない」という結論になる。
指数ベースPERは25倍超、逆数で4%未満
しかし、指数ベースPERは6月15日に25倍台に達し、かなり高い水準だ。逆数で見ると4%を切っており、将来のさらなる株価上昇がなければ許容できない水準といえる。しかも、この指数ベースPERにはキャピタルゲインは含まれていない。
8カ月前から警戒水準だった指数ベースPER
過去のデータを見ると、指数ベースPERは今年1月時点で25倍台に達していた。2025年10月には24倍程度で、この頃に高市早苗氏が首相に就任したことに伴う「高市トレード」が生じた。つまり、すでに8カ月前から指数ベースPERは高い水準にあったことになる。
「もう一つのPER」が示すリスク
野口氏は、加重平均PERだけを見て「PER18倍だから割高ではない」と判断するのは危険だと指摘する。指数ベースPERは、市場全体のバリュエーションをより敏感に反映しており、その高止まりは株価がファンダメンタルズから乖離している可能性を示唆している。



