日経平均7万円台、PER18倍の評価は正しいか
2026年6月16日、日経平均株価は一時7万円台に突入した。この急騰を受け、市場では「PER(株価収益率)が18倍程度であり、過去の経験則から見て割高ではない」との見方が広がっている。しかし、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏は、この評価を鵜呑みにすべきでないと警告する。なぜなら、一般的に使われるPERとは別の「指数ベースPER」が、すでに8カ月前から警戒水準に達しているからだ。
PERの基本:15倍が適正水準の理由
PERは株価が1株当たり純利益の何倍まで買われているかを示す指標で、15倍程度より低ければ「割安」、高ければ「割高」と評価される。この基準は経験則に基づく。数式で表すと、株価が高すぎない条件は「PER=時価総額÷純利益<15」である。逆数を取れば「純利益÷時価総額>0.067」となり、株価に対する純利益の比率が6.7%以上であることが求められる。
2つのPER:個別企業と指数ベースの違い
PERは個別企業の株価判断に使われるが、これを上場企業全体に拡張した「指数ベースPER」では事情が異なる。指数ベースPERは、日経平均構成銘柄の時価総額合計を純利益合計で割って算出される。野口氏によれば、この指数ベースPERは2025年10月ごろからすでに警戒水準(15倍超)に達しており、現在も高い状態が続いている。つまり、個別企業のPERが18倍でも、指数ベースPERはさらに高い可能性があり、市場全体としては割高感が漂っている。
なぜ指数ベースPERが重要なのか
野口氏は「指数ベースPERは、市場全体のバリュエーションをより正確に反映する」と指摘する。個別企業のPERは、利益が一時的に減少している企業や成長株の影響で歪むことがある。一方、指数ベースPERは全銘柄の加重平均であり、市場全体の過熱感を測るのに適している。日経平均が7万円に達した今、投資家はこの指標に注意を払うべきだ。
今後のリスクと投資家への警告
野口氏は「PER18倍という数字に安心して飛びつくのは危険」と述べる。もし指数ベースPERが示す通り市場が割高なら、調整局面が訪れる可能性がある。特に、米国の金利動向や日本企業の業績伸び悩みが懸念材料だ。投資家は、個別銘柄のPERだけでなく、市場全体のPERも考慮した上で、慎重な投資判断を行う必要がある。



