西武新宿線の沼袋駅は、西武新宿駅まで電車で約10分という好立地ながら、家賃が5万円台からという物件が存在する。しかし、現在は駅の地下化工事の真っ最中で、周辺環境に様々な影響が出ている。
駅周辺の現状と開かずの踏切
駅周辺を散策すると、入り組んだ路地の奥には小さな本屋やお茶屋、銭湯などが残り、昔ながらの風情を感じさせる。しかし、駅そのものは地下化の工事が行われており、背の高いパネルで覆われていて味気ない。
街を南北に走る「平和公園通り」と西武線の線路が交わる地点にある踏切は、地域の人たちに“開かずの踏切”と呼ばれている。平和公園通りの道幅は7メートル前後で、南に向かっての一方通行だ。ここを工事車両がひっきりなしに通る。
工事現場に出入りするトラックをさばくガードマンは、「昼間はそれほどでもないけど、朝のラッシュアワーは、ほんとに開かずの踏切だよ」と苦笑いする。
地元不動産会社が語る地下化工事の影響
踏切のすぐそばにある不動産業者「アタカハウジング(中野区沼袋3-4-18)」の代表、井上統介さんは、この街で30年以上のキャリアを持つ。井上さんは西武線の地下化について、「まぁ、外から見れば踏切がなくなって便利になるという良い面が目立つかもしれないけれど、地元では反対する人もわりといるんですよ。昔ながらの景観が変わってしまうことを寂しがる人も多い。すぐ近くにスーパーマーケットの西友があったんですけど、工事の関係でなくなってしまった。買い物が不便になったって嘆いている人もいます」と語る。
鉄道の地下化はいいことばかりではないようだ。井上さんは「そもそも、当初はもっと早く完成するような話だったんですけど、資材の高騰や人手不足などが重なって、工期はのびのびになっているんですよ」と指摘する。
好立地だけど家賃が安い街
沼袋駅は西武新宿線で新宿まで約10分と都心へのアクセスが良いにもかかわらず、家賃相場は周辺エリアに比べて安い。これは地下化工事による騒音や交通渋滞などの不便さが影響している可能性がある。しかし、工事完了後は踏切がなくなり、さらに利便性が向上すると期待される。
一方で、昔ながらの商店や銭湯が残る街並みは、工事によって変わりつつある。井上さんのように長年この街を見てきた人々は、変化を喜ぶ一方で、失われるものへの寂しさも感じている。



