1日のうちに「空腹な時間」をもたない人は、病気や老化の元となる「ゴミ細胞」をため込んでしまっている可能性がある。ネバダ大学ラスベガス校教授のマイケル・イースター氏が、食べない時間が健康に与える影響について解説した。
mTOR経路の発見と「現場監督」の役割
医療の世界では、紀元前500年のヒポクラテスから19世紀のアメリカの医師に至るまで、食べない時間を設けることが腫瘍のような病気の予防や治療に役立つと考えられてきた。そして1990年代初頭、こうした古くからの教えに真実があったことが解明された。
1992年、MITの生物学者デイヴィッド・サバティーニ博士は「mTOR経路」と呼ばれる仕組みを発見した。これは体に指令を出し、古い細胞を壊して新しく健康な細胞に置き換える「現場監督」のようなものだと説明する。体内で老化した細胞はさまざまな問題を抱えており、命を奪う病気の多くに関係しているという。
サバティーニ博士は体を家にたとえ、「古い家をフルリフォームしようとしても、配管工だけ、電気工や屋根職人、壁職人だけを呼んでも無理でしょう。多くの専門職を束ねる現場監督が必要なんです。その監督が職人たちを集め、それぞれが持ち場で修理していくのです」と語る。
空腹時に始まる「体のゴミ出し」
mTOR経路は、体が満たされている状態か空腹な状態かを感知する。食事を取らずにいると、この現場監督が職人を総動員し始める。「これが、若返りや老化防止につながる一連のプロセスを起動する唯一の方法なんです」とサバティーニ氏は言う。
体は容赦なく効率を優先し、特に老化し弱った細胞をエネルギーとして消費することで群れを間引く。シダーズ・サイナイ医療センターの研究者は、この過程を「体がゴミを出すようなものだ」と表現している。
「ゴミ細胞」とは、すでに分裂しなくなり、老化や病気を引き起こすと考えられている細胞のことだ。『ネイチャー』誌に掲載された研究によれば、これらの細胞は「正常な組織の機能を乱す」という。炎症を引き起こし、健康な細胞を死滅させ、線維化を誘発し、有益な成長細胞の働きを妨げる。
研究者たちは、これらの細胞が「自らが住まう組織を積極的に傷つけ、加齢による老化現象と直接結びついている」と指摘。さらに、がん、アルツハイマー病、感染症、変形性関節症、高血糖や脂質異常など、さまざまな疾患とも関係しているという。



