東京大などの国際研究チームは、10万年以上前の「ジャワ原人」が、現代人と同じように首が据わっていない未熟な状態で生まれていたと発表した。原人の頭骨化石を調べた結果、乳児を地面に寝かせた影響とみられる頭骨のゆがみがあった。未熟な赤ちゃんを育てる周囲の協力体制が必要だったことを示唆するという。
頭骨のゆがみが鍵
多くの霊長類は出生時には首が据わっているが、人間は支えが必要で頭骨も柔らかい。直立二足歩行するために母親の産道の大きさが制限されることなどが原因と考えられている。だが、未熟な形の出生が人類進化史のどの段階で始まったのかは分かっていない。
チームは頭部が左右非対称にゆがむ「変形性斜頭」に注目。人間やチンパンジー、ゴリラなど1500以上の頭骨を分析し、「出生時の未熟さ」の指標として利用できることを確認した。
ジャワ原人とフローレス原人の分析
その上で、約11万年前のジャワ原人の頭骨や、約6万年前のフローレス原人の頭骨などを分析したところ、現代人同様のゆがみがあった。出土時の状況や骨の変形度合いから、地層の圧力で生じたものではないと結論づけた。論文が科学誌に掲載された。
チームの海部陽介・東大教授(人類進化学)は「ジャワ原人も出産や子育てで現代人に似た行動があったと想像できる」と語る。
専門家の評価
新潟医療福祉大の奈良貴史教授(自然人類学)は「原人の人骨のゆがみを出生後の変形と関連付ける視点は新しく、人類の進化を考えるうえで貴重な解釈を提示した研究だ」と話す。



