Netflixで配信中のアニメ映画『超かぐや姫!』が異例の大ヒットを記録している。当初は1週間限定の劇場公開だったが、公開直後から「予約できない」という声が続出。反響を受け、全国100館以上に拡大され、興行収入は27億円を突破した。オリジナルアニメ映画で20億円を超えたのは、宮崎駿、高畑勲、細田守、新海誠に次ぐ5人目とされる。
ボカロやVtuber文化に詳しくない大人も涙
本作は、ボカロ文化やVtuber文化に親しんだ若年層を中心に人気を集めている。しかし、筆者(10歳の娘を持つライター)は、当初そのような認識しかなかった。娘が「ネトフリで何回も見ている」と熱望し、「絶対に劇場で見たい」と押し切られる形で、公開終了3日前に予約を試みたところ、座席指定画面は全席満席で、どこも押せない状態だった。結局、別の映画館で何とか鑑賞できたという。
『竹取物語』を下敷きにした未来設定
『超かぐや姫!』のストーリーは、日本最古の物語『竹取物語』を下敷きにしている。舞台は現代より少し先の未来。女子高生・酒寄彩葉(いろは)は、母との関係がこじれ、古いアパートで一人暮らしをしながら進学校に通い、バイトで生計を立てている。ある日、帰り道に“七色に光るゲーミング電柱”を目撃。疲れのせいかと思い素通りしようとすると、電柱が開き、中から赤ちゃんが現れる。3日ほどで急成長した少女は、彩葉に「どこから来たの」と問われると、空の“月”を指さす。「かぐや」と名付けられた少女は、仮想空間「ツクヨミ」でライバー(配信者)として人気者になり、彩葉も巻き込まれて配信活動を手伝うことになる。
間口を広げた3つの仕掛け
本作のヒット要因として、3つの仕掛けが挙げられる。第一に、ボカロ楽曲とVtuber的な配信文化を物語の核心に据えたことで、従来のアニメファンに加えて、ネットカルチャーに親しむ層を取り込んだ。第二に、『竹取物語』という誰もが知る古典をベースにすることで、ストーリーの理解しやすさと普遍性を確保。第三に、親子関係や孤独といったテーマを丁寧に描き、若者だけでなく、子育て世代や年配層にも共感を呼んだ。
一人で抱え込もうとする彩葉と、変えられる結末
彩葉は、母親との確執や生活の苦労を一人で抱え込み、周囲に助けを求められない性格だ。しかし、かぐやとの出会いや配信活動を通じて、他者とつながることの大切さに気づいていく。作中では「結末は変えられる」というメッセージが繰り返し提示され、観客の心を打った。SNS上では「ボカロに疎い大人も涙した」「娘と一緒に泣いた」といった投稿が相次いでいる。
Netflix配信と劇場公開の相乗効果
Netflixでの配信開始後、口コミが拡大。劇場公開は1週間限定の予定だったが、予約の取れなさが話題となり、公開館数を拡大。結果的に、配信で既に視聴したファンが劇場に足を運ぶケースや、逆に劇場で感動した人が配信で再視聴するなど、相乗効果が生まれている。興行収入は27億円を超え、今後も伸びが期待される。



