メジャーデビュー25周年を迎えたコブクロが、36枚目となる両A面シングル「霞日和/Starry Smile Story」を22日にリリースした。今作には、別れの記憶を描いた王道バラード「霞日和」、心の赴くままに生きることを歌った「Starry Smile Story」、長い時間をともに過ごした男女の何げない会話を描く「Message Card」の3曲を収録。25年を経ても、新しい言葉を探し、より良い音を追い求め、互いに「おもろいの作ったな」と思わせることを楽しみ続ける2人。新作3曲の制作秘話から、AI時代に音楽を作る意味、創作を続けるための日々の過ごし方まで、コブクロの“今”を聞いた。
「霞日和」は奇跡のような一曲
小渕健太郎は、今作について「最初にできていたのが『Starry Smile Story』。昨年のツアーのアンコールで歌うために作った曲で、デビュー25周年を迎える前年のツアーの最後に、次を予感させるような曲を届けたかった。ものすごくシンプルなメッセージですけど、『夢を見ようよ』とか、『まだまだいろんなことができるよね』ということを込めたかった」と語る。そして「年が明けて曲作りを始めたときに、『Starry Smile Story』があったからこそ、『じゃあ、まったく違う曲を』というふうに、3曲で今のコブクロを表せるものにしたいと思った」と続けた。
「霞日和」について小渕は「今のコブクロをぎゅっと絞ってドリップしたような、そんなメロディーラインと歌詞の世界。コブクロがやってきたことの延長線上にありながら、今まで歌えていなかった描き方もできた」と説明。黒田俊介は「今回はすごくいい音で全部録れた。マイクの調子が本当に良くて、ミックスもアナログ要素の強いものになって、マスタリングはロンドンのマット・コルトンにお願いした。特に『霞日和』は、家のオーディオで聴いてもめちゃくちゃいい」と音質に自信を見せる。
小渕は「霞日和」の歌詞について、「人生の中には数限りなく別れがありますけど、その中にある、たった一つの“さよなら”を描いた曲」と説明。メロディーから浮かんだ「霞日和」という言葉は「小説や映画などに同じ言葉がないか調べたんですけど、文献にもないし、映画にもない、辞書にも載っていない。もし『霞日和』という風景があるとするなら、それは聴いた人の中にしか浮かばないもの。誰も見たことがないものを、音楽の中だけに存在させることができる。それって音楽ができる最高のマジックだと思う」と語る。
アレンジについて小渕は「間奏部分で転調して、そこからまた転調する。本当に坂道を登っていくようなイメージ」と説明。黒田は「最初は後半に向けて盛り上がっていく部分を強く出して、湿っぽくなりすぎないほうがいいのかなと思った。『霞日和』なので、“霞”だけではなく“日和”というポジティブな言葉も入っている。でも、やっぱりAメロの雰囲気を考えると、しっとりした“霞”のほうにいったほうがいいのかなと思って。最終的には少ししっとりした世界観に落ち着いた」と振り返る。
小渕は「ここまで表現できた曲は珍しいと、ファンブログにも書きました。なかなかそうはいかない。それは一つの奇跡だと思います。それがきちんとパッケージに収められて、この曲をツアータイトルにもして全国を回れる。ライブでどうなっていくのかも楽しみ」と語った。
25年かけないとたどり着けなかった場所
「Starry Smile Story」について小渕は「歌詞に『ハートに掛けた鍵を外して』という言葉がある。あまり使ったことがない言葉ですけど、『生きたいように生きられていますか?』という投げかけも含んでいる。生きたいように生きることの難しさと素晴らしさは、いつも背中合わせですから、それを少し気楽に、硬くならずに歌いたかった」と説明。自身の経験を踏まえ「本当に悲しい出来事がなかったら、歌を作る意味もないと思う。そういうところは、25年かけないとたどり着けなかった場所でもある」と語る。
黒田は「こういう曲が、実は一番難しい。『Starry Smile Storyって、どういう意味!?』って。デモテープが送られてきたときも、そこから始まる。前向きでポジティブなメッセージだということはわかるんですけどね」と笑う。小渕は「歌詞の最後に『今日は 満天の笑顔だ』という言葉が出てくる。もう最後はその言葉しかないと思った。満天の星空が全部笑顔に変わるぐらい、前向きな気持ちを持ってほしいという思い」と明かす。
新しい言葉を追求する理由について小渕は「今は質問すればAIが何でも答えてくれる。でも、それは過去の文献や蓄積された情報から出てくる言葉。だからこそ、新しい言葉や、誰も聞いたことがないものを作るべきなんじゃないかとどこかで思っている。『何、この歌詞?』『何、このアルバムタイトル?』という感覚は、やっぱり人間にしかできない。コブクロしか書かないであろうものを書かなかったら意味がないとすごく思っている」と語る。
「Message Card」とマッサージカード
「Message Card」について小渕は「家に大事なギターを置いている部屋があって、そこに好きなCDやいただいたメッセージカードがある。すごくていねいに、思いを込めて書いてくれているメッセージカード。僕自身も、大切なときにはメッセージカードを書いて渡す。普段メールやメッセージでやり取りしている言葉とは違って、実は思っていることがある。だからこそ恥ずかしい。でも、カードだったら書ける。そこにこそ本当に伝えたいことがあるんだろうなという発想が、メロディーを聴いていたときにぽんと浮かんだ」と説明。歌詞の2人を長い時間をともに過ごしてきた関係にしたのは「時間が経ったからこそ言いたいことを言えない関係もあると思ったから」と語る。
黒田はメッセージカードについて「書いたことないですから。カードといったら、ツアー中に整体へ行って、そこでもらうカードくらいですよ」とコメント。小渕が「それはマッサージカードじゃないですか」と突っ込むと、黒田は「15回行ったら1回ただになるみたいなポイントカードね」と笑った。
25周年のお互いへのメッセージとして、黒田は小渕に「どうやって痩せたん?」と質問。小渕は「食事管理して。めちゃめちゃベタベタな健康管理です。何もそこにはございません」と答えた。小渕から黒田へは「シンプルですけど、『楽しいか?楽しんでるか?』でいいんじゃないですかね。お互い、もう『楽しいか』ということしか確認し合わない。楽しくないなら別にやらなくてもいいんじゃない、ということの連続です」と語る。
創作を続けるために心がけていることについて小渕は「自分が出向きたいところに、とにかく出向くこと。行きたいところには、とにかく絶対に行く。そこから一つでもコブクロに持って帰ってこられたらいいなと思っている。でも、その時に歌詞を書こうなんて1ミリも思っていない。僕にとって、日常は休憩。『さて!』と思う日にスタジオへ入る。その日に何も出てこなくなったら、もう僕は終わりやなと思っている。今もそれをやり続けられている。それは、日々休んでいるからだと思います」と語る。黒田は「最近一番ハマっているのは、ChatGPTに家のオーディオのセッティングを聞くこと。ものすごく的確。どんどん自分の好みが明確になってくる。それは自分のレコーディングにも生きてくる」と明かす。
25年前の自分たちへのメッセージとして、小渕は「25年経っても応援歌を歌ってるぜ、と言いたい。自分たちが頑張るために作っていたつもりの曲を、数え切れないほどの人たちが自分自身へのエールとして受け取ってくれた25年だったんだぞ、と。その道を信じて頑張れ、ということだけですね」と語る。黒田は「まず、頑張りましょう!」と答えた。
7月25日から始まる全国ツアーについて、黒田は「前回の単発ライブから、音響スタッフを含めてスタッフ体制に変化があって、今回はその体制になって初めてのツアー。前回もすごくいい手応えがあったので、それがもっと良くなっていくんじゃないかというのが楽しみ」と語った。



