世界的エンタメ企業HYBEの新人ボーイズグループ「aoen(アオエン)」が、デビュー1年目にして47都道府県すべてを巡るツアーを敢行している。2025年6月にデビューしたaoenは、今年4月の沖縄公演を皮切りに、12月のファイナルまで全国を回る。所属レーベルはHYBE MUSIC GROUP傘下のJCONIC。世界34都市で88公演のワールドツアーを展開する先輩BTSとは対照的な“どさ回り”戦略で、J-POP市場での地盤固めを図る。
地方ライブハウスでファンと直接触れ合う手法
5月某日、福井県のライブハウスには約200人のファンが集まった。aoenのメンバーは「僕たち、これからもっと大きくなっていきます」と誓いを立て、観客と交流した。一部の地域ではライブ前にメンバー自らがビラ配りを行うこともあったという。福井公演では、3月リリースの楽曲『秒で落ちた』の曲名を福井弁で表現するコーナーを設け、メンバーの颯太が「秒で落ってるざ」と福井弁でキリングパートを披露すると、客席から悲鳴が上がった。この日の来場者の約半数は福井県在住者で、残り半数はライブ初参加者だった。
BTSとの対比:世界戦略と地方深耕
HYBEの先輩アーティストBTSは、世界34都市で88公演のワールドツアーを展開中。韓国の各証券会社は総動員数を400万~500万人規模と試算し、チケット争奪戦が続いている。一方、aoenの地方ツアーは小規模なライブハウスを会場とし、ファンとの距離を徹底的に縮める手法を採用。ライブ後にはメンバーが出口でファンを見送り、SNSやYouTubeで知ったaoenの魅力を直接体験させることで、“沼落ち”するファンを増やしている。アーティストとファンが成長ストーリーを共有する丁寧な仕掛けが特徴だ。
K-POPとは異なる売り出し方
HYBEはBTSで確立したK-POPのグローバル戦略をそのまま日本に持ち込まず、J-POP市場に特化したローカライズ戦略を採用。aoenのツアーは、東京や大阪などの大都市ではなく、地方都市のライブハウスを重点的に回ることで、地域密着型のファン層を開拓している。この戦略は、K-POPが得意とする大規模なファンミーティングやグローバル展開とは一線を画し、日本の音楽シーンにおける「どさ回り」の伝統を現代に蘇らせる試みとも言える。
J-POP戦略の勝算
aoenの地方ツアーは、デビュー直後の新人グループにとって、確実なファン獲得と成長の基盤作りに貢献している。HYBE JAPANは、BTSのようなグローバルスターを輩出する前に、まず国内市場での支持を固める方針とみられる。47都道府県ツアーを通じて、各地で熱狂的なファンを生み出すことで、将来的な全国規模のアリーナツアーや海外進出への足がかりとする狙いだ。この戦略が成功すれば、HYBEの日本市場における存在感はさらに強まるだろう。



