キーボードのドミ(DOMi LOUNA)とドラムのJD・ベック(JD BECK)によるユニット、ドミ&JD・ベックが約4年ぶりとなるニューアルバム『フー・アスクド?』をリリースした。Z世代を代表するデュオとして世界から注目を集め、2023年と2024年の来日公演はともにソールドアウト。アリアナ・グランデとの共演や、ブルーノ・マーズ&アンダーソン・パークによるシルク・ソニックとの共作でも知られる2人が、新作で大きな変化を見せている。
前作は「パッチワーク」、新作は「本当の意味での1stアルバム」
前作『ノット・タイト』ではインストゥルメンタルが中心だったが、『フー・アスクド?』ではほぼ全曲で2人のボーカルをフィーチャー。制作には2年以上を費やし、他人からの評価や成功を意識せず、「自分たちのため」に作品と向き合ったという。
ドミ&JD・ベックは、前作について「いろいろなアイデアをつなぎ合わせたパッチワークのように感じます。当時はまだ自分たちのサウンドを確立できていなくて、明確な目的もないまま、いろいろな方向へ進んでいました」と振り返る。その一方で、新作は「本当の意味で僕たちの1stアルバムのように感じています。自分たちのビジョンを一つひとつ形にして、すべてを自分たちでコントロールしようとしたからです」と語った。
制作には3曲でドミの兄が作曲に参加し、2曲目ではAndy(Anderson .Paak)が歌詞を書くのを手伝ったが、「それ以外は100%僕たち。自分たちだけで、自分たちのために、とても利己的に作ったアルバムです」と話している。
ボーカルは「カオスのアンカー」、制作中は期待を遮断
ボーカルを取り入れた理由について、「人間の声は最も古い楽器であり、最も直接的につながることのできる方法なので、そのメロディーを自分たちで歌うことが自然に思えたんです」と説明。「僕たちはボーカルを主役にしたいわけではありません。楽器が生み出すカオスの“アンカー”として機能してほしいんです」と語る。
アルバムの反応については、「自分たちの作品について、ほかの人がどう思う可能性があるのか、そういう考えをすべて遮断しようと本当に頑張りました」とコメント。アルバム発売直前には友人たちに「これでファンを全員失うかも」と冗談を言っていたといい、「伝統的なドラムンベースのファンはポップなボーカルを気に入らないかもしれない。伝統的なジャズやクラシックのファンは、そのポップなボーカルにかかったディストーションを気に入らないかもしれない。そして伝統的なポップやロックのファンは、クレイジーなハーモニーやスピードを気に入らないかもしれない…って、キリがない(笑)。だから、もう考えないことにして、何も期待しないことにしました(笑)」と笑いながら語った。
制作期間中は「8時間睡眠、8時間音楽、8時間娯楽」という生活を送り、Sibelius(楽譜作成ソフト)を使ってアルバム全体のすべての音符とリズムを4ヶ月で書き上げた。しかし、「2年間ノンストップで続けて、完全に燃え尽きてしまいました。勉強になりました(笑)」と振り返る。
ショート動画は「予告編」、影響を受けたアーティストと日本への愛
TikTokやショート動画が全盛の時代にアルバムを作り続ける理由について、「TikTokやショート動画も素晴らしいけれど、それは完全な体験というより“予告編”に近い。映画の本編を一度も観ないで、人生ずっと予告編だけを観て過ごすことなんてできないですよね(笑)」と語る。
「天才」と呼ばれることについては、「ほかの人が僕たちをどう表現するかと、自分たちが自分自身をどう考えるかは、完全に切り離そうとしています」とコメント。「褒め言葉はうれしいし、力をもらえることもあります。でも、人が本当は何を考えているのかなんて分からないし、言葉は理由もなく使われることもある。だから、そこに重要な意味を持たせても仕方がないと思っています」と語った。
影響を受けたアーティストとして、2022年にビョーク、デス・グリップス、ストラヴィンスキー、オウテカの作品に深く没頭したと明かし、「この4組からは大きな影響を受けましたし、新しい可能性に耳を開かせてくれました」と話す。また、コラボしてみたい日本のアーティストとして坂本龍一さんを挙げ、「坂本龍一さんや黒澤明さんと何かできていたら、本当に本当に良かったのにと思います…。将来の夢としては、『ゼルダ』のようなゲームの音楽を手がけてみたいです」と語った。
日本のファンについては、「世界で一番集中して聴いてくれて、好奇心があって、リスペクトしてくれるファンです」と絶賛。日本に来たら「寿司屋でおまかせを食べたいし、焼き鳥、オムライス、カレーライス、ものすごく濃い抹茶も大好き。それから旅行中に一度は、深夜に一蘭へたどり着きます」と明かした。
アルバムのおすすめ曲については、「クラシックやオーケストラ音楽が好きな人なら『エピファニー』『エピローグ』『コンサルティーノ (フォー・ピアノ、ドラム&オーケストラ)』。ビートが好きなら『ファントム・スレッド』『ハド・イナフ』『スモール・アイズ』。ドラムンベースが好きなら『アウト・オブ・シンク』『イグジット』『レイン』。そして、僕たちみたいに自分が何を好きなのか分からない人は、最初から再生して目を閉じてください!」とメッセージを送った。
最後に日本のリスナーへ向けて、「みんな大好きです!日本に戻って、皆さんの前で演奏できるのが待ちきれません!」とコメントしている。
アルバム『フー・アスクド?』は2026年7月31日にリリース。来日公演は12月15日に東京・豊洲PIT、12月17日に大阪・Yogibo META VALLEY、12月18日に愛知・名古屋CLUB QUATTROで開催される。



