オランダ在住の指揮者・作曲家、阿部加奈子(53)が新作「風の睦び」などを指揮したCD(アルトゥス)をリリースした。横浜みなとみらいホールの委嘱を受けて昨年11月に同ホールで行われた神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会での初演を録音したものだ。
オルガンの魅力を生かした新作
同ホール自慢の大型パイプオルガンを生かした新作のタイトルは、オルガンの日本語訳「風琴」と、「親しくする」の意味の古語「睦ぶ」から。オルガンを風、横浜の街を管弦楽に見立て、変化する街と風の交流を描いた。オルガン演奏は近藤岳が担当した。
意識したのは、オルガンの多彩な魅力を伝えること。第1章は、管弦楽に溶け込むように演奏されるオルガンを、第2章では笙に例え、雅楽の響きを再現。第3章は、超絶技巧を用いた即興演奏を盛り込んだ。
作曲と指揮の視点から
作曲する際も指揮者の視点から試行錯誤した。「最初に音が鳴った時は表現し難い感慨があった。私一人では考えつかなかった音の色が乗った」と振り返る。
東京芸術大作曲科を経てパリ国立高等音楽院で指揮を学び、欧州を拠点に活躍。大切にするのは現代曲の初演だ。これまで200曲以上を世に送り出してきた。「現代曲の場合、技術的な部分にこだわりがちだが、魂がこもっていないと聴衆には伝わらない」と、自身の感動をオーケストラに伝えるため心を砕く。
芥川也寸志サントリー作曲賞での指揮
30日には、東京・赤坂のサントリーホールで行われる芥川也寸志サントリー作曲賞の選考演奏会で、候補作などを指揮する。「創作を手伝いたいという気持ちで音楽に取り組む私には、これ以上ない光栄な機会」と意気込んでいる。



