バンダイナムコとウドー音楽事務所が戦略的提携、IP活用で邦楽のグローバル化へ
バンダイナムコとウドー音楽事務所が戦略的提携

バンダイナムコグループと老舗プロモーターのウドー音楽事務所が、戦略的パートナーシップを結んだ。両社はライブイベントと音楽事業の強化、日本発エンタテインメントの海外展開を狙う。

『Shibuya LOVEZ』オープンと両社の協業のきっかけ

今年6月27日、東京・渋谷にバンダイナムコグループ初の多目的ホール「Shibuya LOVEZ」がオープン。T.M.Revolutionおよび西川貴教がこけら落とし公演を行った。同グループは2026年4月に映像音楽事業の組織再編を実施し、グループ横断で音楽事業を強化する方針を宣言。ライブ事業は年間800本を超える規模に成長している。

バンダイナムコホールディングス取締役副社長の桃井信彦氏は「リアルな体験を伴うエンタテインメントの価値が高まっている。ライブはIPの世界観を届け、ファンとの繋がりを育む重要な役割を担う」と述べた。

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一方、事業成長に伴い大型会場の制作・運営や海外展開といった課題も浮上。バンダイナムコはウドー音楽事務所に協力を依頼した。バンダイナムコミュージックライブ常務取締役の鈴木孝明氏は、『テイルズ オブ フェスティバル』での制作・運営実績を評価し、「収容人数の多い会場のオペレーション力に感銘を受けた」と語る。

音楽のグローバル化とIPの可能性

ウドー音楽事務所にとっても、この提携は未来への挑戦だ。同社取締役の有動敦胡氏は「エンタメ産業のグローバル化やデジタル技術の進化は速い。バンダイナムコのIPプロデュース力と当社のライブ制作ノウハウを掛け合わせれば、新たなライブ体験を世界へ届けられる」と確信を示す。

両社のパートナーシップの主要テーマは「ライブ事業のグローバル展開」だ。桃井氏は「当社でよりグローバル化を推進したいのが音楽。日本の音楽業界全体の課題だが、状況は急速に変わっている。今年5月の米ロサンゼルスでのJ-POPフェス『Zipangu』では3万5000人が熱狂し、アニメ主題歌をきっかけに世界的な人気を得るアーティストが増えている。ゲーム音楽のオーケストラコンサートも世界的な潮流だ。日本のIPを入り口としたライブ体験を世界中が渇望している」と述べた。

鈴木氏は「当社のコンテンツには海外から声がかかるが、『呼ばれて行く』だけでは熱狂が点で終わる。戦略的に仕掛けるフェーズに来ており、世界の音楽業界にネットワークを持つウドーのリソースに期待している」と話す。

新たなライブ体験構想:DJフェス、バーチャルライブ、コラボ

ウドー音楽事務所は、海外アーティスト招聘で培ったネットワークを活かし、日本発のライブエンタテインメントを世界へ届ける方向へ役割を進化させる。同社代表取締役社長の遠藤敬輔氏は「現場の主力はインバウンド事業だが、今後はアウトバウンドの発想が必要だった。バンダイナムコと組むことで可能性が現実味を帯びた」と語る。

両社は複数のアイデアを検討中。遠藤氏は、ゲーム音楽に特化した大型DJフェスやキャラクターのバーチャルライブを提案。「ライブをパッケージ化すれば、アーティスト個人に依存せず世界各国を巡回できる」と述べた。

有動氏は、海外アーティストとバンダイナムコのIPコラボを構想。「『パックマン』や『ガンダム』が大好きなアーティストもいる。彼らとキャラクターの競演やコラボグッズ、楽曲提供まで引き出せたら。年内にバンダイナムコの資料を持って現地マネジメントに説明に行く」と語る。桃井氏は「『たまごっち』のIPを活かした家族向けリアルイベントも可能。可能性は無限にある」と述べた。

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日本のポップカルチャーが世界を動かす時

両社が見据えるのは、個々のイベント成功ではなく、日本エンタテインメントの未来だ。有動氏は「バンダイナムコは世界観を作る天才。当社は生の体験を作る職人。両者が合わさることで新たなライブコンテンツが生まれる」と期待を示す。

遠藤氏は「ここ数年で日本のポップカルチャーの受容層が変わった。特にアジア圏では若者文化として定着しつつある。音楽を含む日本のポップカルチャーが世界的ムーブメントを起こすタイミングは、ここ数年のうちに来る」と予測する。バンダイナムコのIPとウドー音楽事務所のライブ制作力が交わることで、日本発エンタテインメントは新たなステージへ踏み出そうとしている。