「週刊少年ジャンプ」などで知られる大手出版社の集英社が今年、創業100周年を迎えました。同社相談役の堀内丸恵さんと、漫画アプリ「少年ジャンプ+」副編集長の本田佑行さんに、会社の歴史や「ONE PIECE」をはじめ世界に誇る大ヒット作を生み出し続けてきた漫画編集の仕事について聞きました。
自由な風土とチャレンジ精神受け継ぐ
集英社は1926年、「学習」分野がメインだった小学館から娯楽部門が独立して誕生しました。集英社の社名の由来は諸説ありますが、「広く英知を集める」という思いからだそうです。小説から「Seventeen」といったファッション誌まで、多種多様な本を出版しています。「出版」を幹としながらも、映像化やグッズ販売など幅広く手がけています。
同社を代表する雑誌が、68年創刊の少年漫画誌「週刊少年ジャンプ」です。「DRAGON BALL」「鬼滅の刃」など数々のヒット作が時代を彩ってきました。入社51年の堀内さんも「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の初代担当編集です。少年誌としては後発でしたが、創刊時から新人漫画家の発掘と専属契約、さらに読者の声を作品作りに反映させるアンケートを行い、トップの座を走り続けています。
漫画家の熱意をサポート
「読者が何を求めているか分析も必要だが、どうしてもこれを描きたいという作家の強い気持ちがヒットを生む」と堀内さん。「サーキットの狼」や「SLAM DUNK」などはその代表例だそうです。「我々はその気持ちをサポートすることが大切」と言います。
長い歴史の中で、オイルショックや海賊版問題など、様々な困難に直面してきました。それらに立ち向かえたのは、社内に自由な風土があったからだそうです。「創意」「自信」「協調」の社是を掲げており、堀内さんは「発言する自由があり、失敗してもまたチャレンジできるので、のびのびと力を発揮できるのです」と言います。デジタル化も進んでいますが、「出版物は心を豊かにするために必要。100年たってもそれは変わらない」と強調します。
読者の立場で編集
思いは現在も受け継がれています。本田さんは「ハイキュー!!」や「Dr.STONE」など私たちも大好きな漫画を多数手がけてきました。
編集者は漫画家と二人三脚で漫画の制作を進めます。作家の先生と打ち合わせを行って作品の内容や方向性を決めるのが主な仕事ですが、雑誌の予告や記事を考えたり、アニメ化の際には作家の代わりに対応したりします。
編集者として大切なのは「一般的な感覚」だそうです。専門用語が出てくる場合など、本田さんは「読者の代表として、読者を常に想像しながら、客観的に分かりにくい部分を見逃さないようにしています」と言います。
作家とのコミュニケーションも大事にしています。時に意見が異なることもありますが、「作品と先生の味方ですよと常に伝えています。最初の読者として作品を読み、『この世界で一番面白いものが、この瞬間に生まれている』と感じる時が幸せです」と話します。
編集者になりたい小中高生に、「漫画は人を描く。人に興味を持ち、自分が関心のないことにも面白さを見つけられるようになってください」と、本田さんはアドバイスをくれました。「これからも読者が面白いと思う物語を届け、作家さんにとって『少年ジャンプ+』を挑戦しやすい場にしていきたい」とも話していました。
お二人の話からは、読者と作品に対する敬意、信念を感じることができました。