元QJ編集長の新たな挑戦
紙の本を取り巻く環境が厳しさを増す中、元「Quick Japan」(QJ)編集長で、現在はひとり出版社「百万年書房」の代表を務める北尾修一氏(57)が、出版業界の現状と自身の哲学について語った。北尾氏は「ぜいたくしなければ楽しく暮らせるはず」と述べ、単行本に特化し、ベストセラーを狙わないという独自のスタンスを貫いている。
バブル期の出版業界と一般企業への就職
北尾氏はもともと編集者になるつもりはなかった。大学時代にマガジンハウスの「anan」編集部でアルバイトを経験し、バブル期の右肩上がりの出版業界を目の当たりにしたが、「こんなこと続くわけない」と考え、教育系の一般企業に就職した。しかし、すぐに「ノリがあわない」と悟り、2年後に「変わった本を作っていた」太田出版に転じた。
編集者としての原点
編集経験はほぼゼロで、企画も通らず暇を持て余していた頃、他社から編集者の赤田祐一氏が移籍してきた。QJの創刊を準備していた赤田氏から記事の感想を聞かれるうち、取材や執筆を任されるようになり、赤田氏が体調を崩すと、未経験の雑誌編集業務を「ぶっつけ本番」で引き継ぐことになった。
「Quick Japan」と音楽へのこだわり
QJはカルチャー誌と称されることが多いが、北尾氏は「若者のためのニュースマガジン、報道だと思っていた」と振り返る。特に音楽に狙いを定め、アーティストの周辺取材を中心に構成した特集「拝啓 椎名林檎様」など、ヒット企画を生み出した。
風化しない本を目指して
北尾氏は「風化しない本」をコンセプトに、百万年書房を運営。同社は単行本に特化し、売れ行きよりも質を重視する方針だ。北尾氏は「出版はスモールビジネス」と述べ、大規模な商業的成功ではなく、持続可能な形で本を届けることを目指している。
今後の展望
百万年書房は、今後も独自の視点で選んだ作品を刊行し続ける予定だ。北尾氏は「ぜいたくしなければ、出版で楽しく暮らせる」と語り、自身の経験を活かして、新しい形の出版を模索している。



