15日からレンタル・購入配信がスタートしたアクション時代劇『NINJA WARS ~BLACKFOX VS SHOGUN’S NINJA~』。主演の山本千尋が、圧巻のアクションと穏やかな人柄で話題を集めている。坂本浩一監督との再会、仲間への信頼、そして日本のアクション時代劇への思い――20代の集大成と位置づける本作について、山本が語った。
「入ってよかった」衣装に宿る特別な思い
撮影を振り返り、山本は「やっぱり一番は楽しかったなっていう思いが強かったですね」と笑顔を見せる。台本を手にした時点で、現場の過酷さは想像していたという。「これは、とんでもないアクションの量になるんだろうなと思いました(笑)。アクションって、台本のト書きだと3行くらいなんです。でも、その3行に丸1日かかることもある。例えば『ひと振り』と書いてあるだけでも、その撮影にはすごく時間がかかるんです。それをこの短期間で考えて撮られる坂本監督は、本当にすごいなと思いました」
そんな現場で山本が7年ぶりに袖を通したのが、『BLACKFOX: Age of the Ninja』で演じた石動律花のコスチュームだった。「まずは『懐かしいな』という思いと、衣装合わせの際に『入ってよかった』という思いでした(笑)」と冗談交じりに笑う。その衣装には特別な意味がある。「同じキャラクターを、年を経て再び演じさせていただけることは本当にありがたいですし、私ではなくキャラクターを通して応援してくださっている方もいると思うんです。コスチュームはキャラクターを作る上で支えてくれる存在なので、身が引き締まる思いでした」
2週間の撮影期間、徹底した準備で挑む
『NINJA WARS』の撮影期間はわずか2週間。驚く記者に対し、山本は「今回は一番余裕がありました」と笑う。「『BLACKFOX: Age of the Ninja』の時は1週間から10日くらいでしたし、『SHOGUN’S NINJA-将軍乃忍者-』の撮影期間は1週間くらいだったそうなので。今回は『2週間もあるんだ!』と思って、前回よりゆとりを持って撮影できました(笑)」
その“余裕”は徹底した準備があってこそ。撮影の数カ月前から、普段以上のトレーニングを開始。ケガを防ぎ、コスチュームを美しく着こなすため、身体づくりを一から見直したという。「『坂本組に入る』というのは、普段のトレーニング以上の準備が必要なんです。ケガをしないためにマシンを使ったトレーニングも取り入れましたし、普段は自重トレーニングが多いんですけど、この期間はある程度重いものを持ちながら、絞るというより筋肉量を増やすことを意識していました」
坂本監督から山本に声が掛かったのは、脚本づくりが始まった頃だった。「『一緒にどうやって作っていけるかアイデアを出し合えたら』と言っていただいて、本当にありがたかったです。でも、基本的には『坂本監督に託す』という気持ちでした。頂いたものを全力でお返しするのが私たちの仕事だという思いで、進めさせていただきました」
切り替えができる自分を見せられた
デビュー以来、数々のアクション作品で経験を積み重ねてきた山本。今回の現場で実感したのは、自分一人の力では作品は完成しないということだった。初主演を務めた『BLACKFOX: Age of the Ninja』では、肉体的にも精神的にもいっぱいいっぱいで、すべてを一人で背負おうとしていた。「22歳で初めて主演をさせていただいて、撮影期間もタイトで、お休みも1日しかない状況でした。『全部自分でやらなきゃ』という思いがすごく強かったんです」
思うようにいかなかった日は悔しさを引きずることもあったが、さまざまなアクション作品を経験する中で、作品との向き合い方は変わっていった。「アクションチームの皆さんの偉大さを、本当にいろいろな作品で感じました。全部自分でやるよりも、チームみんなで作品を作ることの大切さを学ぶ機会がたくさんあったんです」
主演だからと一人で引っ張ろうとするのではなく、仲間を信頼し、自分自身も支えてもらう。その心境の変化を山本は「甘えられるようになった」と表現する。「今回も主演を務めさせていただきましたけれども、キャストの皆さんに恵まれていたので、自分が引っ張るというより、皆さんに助けてもらいながら作品を作ることができました。良い意味で『甘える自分』が生まれたんです。昔から知っているキャストさんや監督だったこともありますが、以前より切り替えができる自分を見せられたのではないかと思っています」
中国武術の封印を解き、仲間とアイデアを出し合う
「『BLACKFOX』では封印していた」という中国武術。今回は、同じ流派で武術を学んできた高岩芯泰とともに、自ら立ち回りのアイデアを出し合う場面もあったという。「全部アクションチームに頼りきるんじゃなくて、自分たちでも振りを考えたり、アイデアを出したりできたのは、一つの収穫だったと思います」
俳優として積み重ねてきた経験は、石動律花というキャラクターにも自然と重なった。「今回は律花が狐の集団を率いる“当主”になっていたので、少女から女性になっていることが一番大きな変化でしたね。当主というのは、自分のこと以上に周りのことを考えなければいけない立場ですし、『BLACKFOX』の頃みたいに自分の思いだけでは動けない。我慢が必要なのが、上に立つ人なのかなというイメージがありました」
劇中で仲間を率いる立場となった律花。その傍らにいるのが、風魔忍者・お喬だ。演じる宮原華音とは10代の頃から親交があり、プライベートでも親しい間柄だという。「宮原さんとは本当に昔から仲が良くて、お喬というキャラクターも彼女そのままみたいな存在なんです。物語では律花は一人で抱え込むことも多い役なんですけど、お喬というキャラクターにも、それを演じる宮原華音さんにも、本当に救われました」



