ベネチア3冠の衝撃作『LOST LAND』
ベネチア国際映画祭で3冠を達成した映画『LOST LAND/ロストランド』が、世界で最も迫害されている民族とされるロヒンギャの過酷な現実を描き出している。本作は、ミャンマーから逃れたロヒンギャ難民の実話に基づき、強制徴兵や「人間の盾」としての利用疑惑など、国際社会が目を背けてきた人権侵害の実態に迫る。監督の渡邉氏は、本作が単なるドキュメンタリーではなく、観客に人間の普遍的な感情を伝える物語であると語る。
製作の舞台裏:国際的な協力と支援
本作の製作は、日本、ドイツ、フランスの国際共同プロジェクトとして進められた。渡邉監督は、イタリアのウディーネ・ファーイースト映画祭に併設された企画マーケット「フォーカス・アジア」でドイツのプロデューサーと出会い、ロヒンギャ問題への共通認識から協力が始まった。同マーケットはアジアのフィルムメーカーと欧州の映画制作会社・配給会社を結びつける場として機能している。
製作資金は多角的に調達された。独立行政法人日本芸術文化振興会の製作支援補助金、編集段階では「First Cut Lab」によるコンサルテーション、完成後は海外プロモーション支援補助金を活用。さらに、フランス国立映画映像センター(CNC)の「シネマ・ドゥ・モンド」ポストプロダクション助成により、フランスの優秀なスタッフが編集・色調調整・音声処理を担当した。渡邉監督は「この助成金を勝ち取れたのは大きな成果だった」と振り返る。
フランスでの上映とインパクト・プロダクション
本作は「インパクト・プロダクション」の枠組みで展開され、社会的なテーマを扱い、変革をもたらすことを目的としている。フランスではアムネスティ・インターナショナルや国連と協力し、日本と同時期に150館以上で上映された。藤元氏は「ロヒンギャのことを知らなくても、まずはこういう人たちがいることを知ってほしい」と語り、特に若い世代への鑑賞を呼びかけている。
海外の観客からは「どこの国の人かは関係なく、人間だったらわかることが描かれている」との感想が寄せられ、普遍的なメッセージが評価されている。
河合優実がナレーションを担当
予告映像のナレーションは俳優の河合優実が務め、作品の世界観を引き立てている。監督は、過去作『僕の帰る場所』『海辺の彼女たち』で多くの映画祭に参加し、そこで出会ったフィルムメーカーたちとのネットワークが本作の製作にも生かされたと説明する。



