性的マイノリティがお見合いをする時代が到来している。その背景には、自分らしい生き方を求める声の高まりと、婚活サービス側の受け入れ態勢の整備がある。本記事では、トランス女性として新たな結婚を目指すヒロミさん(仮名)と、彼女のパートナーとなったコウさん(仮名)の婚活ストーリーを通じて、現場のリアルを伝える。
孤独な闘病がきっかけで婚活を決意
ヒロミさんが婚活サービスに登録したのは3年前のことだ。「新型コロナが蔓延していたときに、かかったんです。高熱が出て、意識が飛んで。そんなときにひとりぼっちなのが、本当につらかった。パートナーが側にいてくれたらいいなと思ったんです」と振り返る。孤独な闘病経験が、婚活への大きなきっかけとなった。
一方、コウさんは約1年前に登録。ヒロミさんにとってコウさんは4人目のお見合い相手で、コウさんにとっては初めての相手だった。2人がお見合いしたのは昨年6月のことだ。
遠距離から始まった交際
ヒロミさんが関西、コウさんが関東と遠方だったため、最初はZoomでお見合いを行った。そこから仮交際に入り、約1カ月間にわたってLINEでやり取りを重ねた。その後、ヒロミさんがコウさんを訪ね、東京で初めて対面した。
さらに2度目のデートでは、コウさんが関西へと向かった。別れ際、新幹線のホームで見送る時間が近づくにつれ、2人の目には自然と涙が浮かんだという。ありのままの自分を受け入れてくれる相手に出会えたという思いがあったからだ。「何も隠さなくていい。とにかくコウちゃんといると楽なんです」とヒロミさんは語る。
そして3度目のデートで、コウさんがヒロミさんにプロポーズした。
自分を偽った過去の結婚
ヒロミさんには過去の婚歴がある。「15年くらい前に結婚して、すぐに子どもができました。その子は今、中学2年生です」。その結婚をするときには、自分の性的自認が女性であることに気づいていたという。
「私の恋愛対象は女性。性自認がトランス女性なので、レズビアンということになります」とヒロミさんは説明する。当時のパートナーにはそれを伝えずに、男性のふりをして結婚した。
「そのときは、恋愛感情が自分の性的自認よりも上だった。好きな人と結婚できるなら、男性を演じ切れると思ったんです。でも、結婚生活を送っていって恋愛感情が落ち着いてくると、男性を演じているのがだんだんつらくなっていきました」
「それなら別れましょう」
ヒロミさんは元妻に自分の性自認を打ち明けた。元妻の反応は「それなら別れましょう」というものだった。その後、ヒロミさんは中学生の子どもにも「新たな結婚」を伝えた。子どもは「パパが幸せならいいよ」と理解を示したという。
現在、ヒロミさんとコウさんは婚活サービスを通じて出会い、新たな結婚に向けて準備を進めている。2人の関係は、性的マイノリティが自分らしい人生を歩むための一つのモデルケースとして注目される。



