結婚して10年が経った頃、ヒロミさんは耐えきれなくなり、自分の正直な気持ちを元パートナーと子どもに打ち明けた。元パートナーは「それなら別れましょう。そのほうがお互いのためじゃない?」と応じたという。
子どもに伝えた離婚の理由
離婚する理由は、子どもにも正直に話した。ヒロミさんは「離婚当時はどこまで理解していたかわからないけれど、今はわかってくれています」と振り返る。別れてからも元パートナーや子どもとの関係は良好で、今回コウさんと結婚したことも2人は知っている。
「子どもとは今でもちょくちょく会っているし、LINEしたり、電話したりもしています。子どもに対する愛情は(父親ではなく)母親に近いかな。自分が産みたかったというのはあります」とヒロミさんは語る。
男性として結婚するも…
一方、コウさんには2度の結婚歴がある。どちらの結婚も自分の性的自認は女性だったが、それを伝えず男性として結婚した。
「最初の結婚は35歳のとき。ただ相手の女性がある宗教にのめり込んでいて、莫大な額の献金をしていた。結婚したら『あなたも献金しないと歩けなくなる』と言ってきたので、2年くらいで別れました」とコウさんは説明する。
その後、40歳で再婚するが、8年後に離婚。「2度目の結婚では、男性としてふるまう自分がどんどん苦しくなっていって、女性ホルモン注射を打つようになっていました。そのことを元の妻が知って、『私はノーマルな男性がいい。お互いのためにも別れましょう』と。さいわい子どもがいなかったので、別れを決めてからの離婚はスムーズでした」
変化する性自認
性的マイノリティの人たちの中には、人生経験を重ねながら、自らの性のあり方を見つめ直していくうちに、性自認や性的嗜好が変化していくことは珍しくない。コウさんも当初は自身をトランス女性だと認識していたが、離婚後、自分自身と向き合い続けるなかで、現在は女性でも男性でもない“Xジェンダー”であると思うようになっていった。
ヒロミさんとコウさんは、お見合いを通じて出会い、結婚に至った。性的マイノリティもお見合いをする時代になったが、婚活現場ではまだまだ理解が進んでいない部分も多い。仲人として活動する筆者は、2人の事例を通じて、婚活における多様性の受け入れの重要性を訴えかけている。



