新潟県を拠点に活動するアイドルグループ「Negicco(ねぎっこ)」は今年で結成23年。ご当地アイドルの草分け的な存在だ。リーダーのNao☆さん(38)は、結婚や出産を経てもメンバーと支え合いながら活動を続け、アイドルとして走り続けてきた。
ネギは嫌いだったけど…合格
「メンバーと助け合える関係になれたのは感慨深いです」(新潟市で)=吉川綾美撮影
小学5年から地元の芸能スクールに通っていましたが、恥ずかしがり屋で、人前に立つのが得意ではありませんでした。中学3年の時、地元産ネギをPRするためアイドルグループを作るという話があって、正直ネギが嫌いでオーディションを受けるか迷ったのですが、受けてみたら合格。2003年7月、スクールの仲間とNegiccoを結成しました。
苦境を乗り越え、地元への思い強まる
結成1年後にNHKの歌番組に呼ばれ、「オファーがたくさん来るかも」と期待したのですが、活動の後ろ盾だったスクールがなくなり、苦境に陥りました。自分たちで探したレッスン場に姿見を持ち込んで、歌やダンスを練習しました。メンバー同士の言い争いが絶えず、地元での活動にもピンときていなくて、「東京に出て、テレビに出る人を目指すんじゃないの?」とむずむずしていました。
10年代のアイドルブームの火付け役となったAKB48の結成が05年です。私たちが活動を始めた頃は、アイドルという仕事への理解も薄く、周囲の目も厳しかった。イベントでステージに立つと「へたくそ」とヤジが飛び、街でロケをしていると「かわいくない」と言われました。控室がなく、ゴミ置き場の脇で衣装に着替えたこともありました。
ご当地アイドル日本一から観光特使へ
ご当地アイドル日本一を決める大会で優勝した10年から、少しずつ皆さんに知ってもらえるようになり、13年には「にいがた観光特使」に就任しました。街で声をかけられることが増え、「新潟の魅力を全国に発信していくんだ」という思いが強まり、いつしか、地元を背負って活動できることに喜びを感じるようになっていました。
結婚、出産経て表現に深み
19年、31歳の誕生日に結婚しました。自分の幸せも大事にしながら活動を続ける道を選んだのですが、結婚発表の前後1週間は、どう受けとめられるのかと不安で、眠れませんでした。人生で一番緊張した局面だったかもしれません。ファンから祝福の言葉をいただき、ほっとしました。
22年には長男を出産。私が休んでいる間、メンバーのMeguとKaedeが活動を続けて、戻れる場所を残してくれました。その後、2人も次々と産休に入ったので、彼女たちの歌割りとポジションを覚えて……と、残るメンバーで活動をつないできました。今春にKaedeが産休から復帰し、今は久しぶりに3人で活動しています。
結婚・出産を経てアイドルとしての表現に深みが増した気がします。歌詞への感じ方が変わり、ファンへの感謝の思いが一層強まりました。4歳の息子も、「ママはNegicco」だと理解しているようで、私がテレビに出ると喜んでくれます。大きくなった息子にもアイドルとしての姿を見てもらえるよう、活動を続けていきます。
取材後記
明るく天真らんまんな人というイメージがあったので、街頭で写真を撮影している間、終始恥ずかしそうにしていた姿が印象的だった。照れながらも、遠くから眺めている人やすれ違う人に会釈したり、はにかみながらあいさつしたり。多くの人から愛されている魅力や、長年の活動で培った地域での信頼の厚さの一端を垣間見た気がした。
女性アイドルは20歳代前半までに活動を終えることが多かった時代もあったが、今や結婚や出産を経ても活動を続けるアイドルも出てきた。その道を切り開いてきた一人だろう。結婚発表の際に苦しい思いをしたことを、目に涙を浮かべながらも丁寧に話してくれて、芯の強い女性だと感じた。(読売新聞生活部 山元麻由)



