全国で約690万人超の人が要介護(要支援)認定を受けている現代。介護の現場では、理解しがたい行動や出口のない苦しみが日常的に存在する。そんな介護のリアルを描く漫画『介護者たちの事件簿』(秋野ひろ/コルク)が、大きな反響を呼んでいる。
雨の夜に認知症の父が失踪、それでも施設入所をためらう息子
物語の舞台は、路地裏にひっそりと佇むBAR。さまざまな事情を抱えた人々が訪れ、介護に疲れ切った男性が重いため息と共にやってくる。彼の父親は認知症を患っており、ある雨の夜に突然家を出て行方不明になった。幸いにもすぐに見つかったが、この出来事を機に家族は施設入所を検討し始める。
しかし、息子は「もう限界なのに、施設に抵抗感がある」と本音を漏らす。父親を施設に入れることへの罪悪感や、周囲の目、そして「自分が最後まで面倒を見るべきだ」という思いが葛藤を生んでいる。一方、妻は複雑な胸中を抱えながらも、夫の決断を静かに見守る。
介護の「謎」をマスターが鮮やかに推理、気づきと前向きな一歩へ
本作の特徴は、BARのマスターが被介護者の不可解な行動の「謎」を鮮やかな推理で解き明かす点だ。マスターの言葉に客は気づきを得て、少し前向きに自分の生活へと戻っていく。介護のつらいイメージを、ちょっとだけ気楽に捉え直すためのヒントが詰まっている。
秋野ひろさんによる漫画『介護者たちの事件簿』は、連載形式で公開中。介護に悩む全ての人に、新たな視点を提供する作品として注目されている。



