午後9時を過ぎても、駐車場の車は途切れなかった。筆者が訪れたのは神奈川県内の某所、幹線道路沿いに大型看板を掲げるラー麺店「ずんどう屋」。最寄り駅からは少し距離があり、駅前というより車で立ち寄るロードサイド型の店だ。
夜の道路沿いで白く光る看板は遠くからも目に入り、駐車場では食べ終えた客の車が出ると、また別の車が入ってくる。赤い暖簾をくぐると、店内は3分の1から半分ほどの席が埋まり、客が入っては帰るサイクルが続いていた。
赤い暖簾と黒い外装が印象的な「ずんどう屋」の外観。客層は仕事帰りと思しき大人が中心だ。カウンターには1人客。テーブルには男女2〜3人のグループ。女性を含むグループが複数いた。店内は明るく、BGMと会話の音量はほどよい。仕事帰りに食事を済ませる場所としての落ち着きがあった。
聞こえてくるのは、アルコールではなくラーメンとチャーハン、餃子を合わせて頼む声の多さだった。しっかりと食事をしに来る店として使われている。内装は、居心地のいい食堂に近い空気だ。長居する店ではないが、落ち着いて食べられる。
奥行きのあるカウンターは、窮屈さを感じないし目線が合わない高さの仕切りがあり、落ち着く。広いテーブル席もある。大きな荷物カゴを従業員が持ってきてくれた。仕事帰りのリュックやバッグが収まり非常に嬉しい。
3年で74店から110店へ、静かに伸びたずんどう屋
「ずんどう屋」は、丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスが展開するラーメンチェーンだ。派手なプロモーションや話題性はないものの、ここ数年で急速に店舗数を増やしている。3年前には74店舗だったが、現在は110店舗に拡大。静かに、しかし着実に成長を遂げている。
ロードサイドを中心に出店し、夜遅くまで営業することで、仕事帰りの客層をしっかりと掴んでいる。特に、しっかりとした食事を求める大人のニーズに応えている点が、リピート率の高さにつながっている。
丸亀製麺の会社は、なぜラーメン店も育てられるのか
トリドールホールディングスは、うどんチェーンの丸亀製麺で知られる大手外食企業。同社の強みは、徹底したオペレーションの標準化と、食材の品質管理にある。このノウハウをラーメン店「ずんどう屋」にも応用し、安定した味とサービスを提供している。
また、ロードサイド立地の特性を活かし、広い駐車場と見やすい看板で集客。店内は清潔感があり、女性客も入りやすい雰囲気を醸成している。
売り上げは伸びた。それでも残る利益の問い
店舗拡大に伴い売り上げは増加しているが、利益面では課題も残る。ロードサイド店舗は家賃や人件費がかさむため、効率的な運営が求められる。トリドールHDは、セントラルキッチンやデリバリー対応など、収益性を高める施策を模索している。
同じブランドの中にある幅
「ずんどう屋」というブランドの中でも、店舗ごとに少しずつ個性がある。一部の店舗では、つけ麺や期間限定メニューを提供し、常連客の飽きを防いでいる。この柔軟性が、チェーン全体の底上げにつながっている。
派手さはないが、着実に支持を集める「ずんどう屋」。夜遅くまで混み合うその理由は、仕事帰りの大人が求める「しっかりとした食事」と「落ち着ける空間」を提供しているからに他ならない。



