2023年7月の大雨で大きな被害を受けた秋田市楢山登町の東海林印刷が、同じく被災した菓子店と共同で、復旧を支えてくれた地域への感謝と応援の気持ちを込めたプリンの販売に取り組んでいる。名付けて「プリント屋がプリン」。だじゃれのような取り組みだが、思いは真剣そのものだ。
被災から復興、地域の支えで再起
秋田市の市街地を中心に6000棟以上が床上・床下浸水した記録的な大雨では、同社も印刷機械の全てが水につかり、印刷用紙も廃棄を余儀なくされた。窮地で力になってくれたのは、同業企業や地域の人たち。他社から印刷機械を借りるなどしてしのぎ、約半年後に通常営業にこぎ着けた。印刷を注文してくれる地元への思いもより強くなった。
東海林社長らは従来から地域貢献活動を続けていたが、25年初め、新たなアイデアを社内で募ったところ、「プリント屋がプリンを作ったら面白そうだ」と社員から提案があったという。
被災した菓子店との共同企画
この企画に快く協力してくれたのは、同じ大雨で浸水被害に遭った同市横森の横森菓子店だった。同店の高橋寿和店長(50)は「面白くて、復興したことを示すことができる企画だと思った」と話す。東海林社長は「大雨被害から立ち直った者同士、運命共同体のようなものを感じた」と振り返る。
商品名は「プリンと…」。パッケージは東海林印刷が親しみやすさを感じる手書き調のものにデザインした。26年3月に売り出すと評判を呼び、約300個を完売した。2回目もとんとん拍子で決まった。
2日間で約350個を売り上げ、9月にも販売予定
2回目の販売となった7月24~25日。東海林社長は買い求める地域の人々としばらく談笑した後、プリンの入った紙袋を手渡していった。2日間で売り上げたのは約350個。発売2週間前に告知すると、ほとんどが予約で埋まったという。
40個購入した50歳代の男性は「東海林さんらへの応援の気持ちも込めて買った。職場のみんなにも分けたい」と話した。
同社は9月26日にもプリンの販売を予定している。東海林社長は「仕事ができるのは地元の皆さんがいるからこそ。秋田を元気にすることに貢献したい」と語った。



