大阪・新世界でナイトタイムエコノミー活性化、通天閣延長やドローンショー
大阪・新世界でナイトタイムエコノミー活性化、通天閣延長やドローンショー

大阪・新世界で、インバウンド(訪日外国人客)を取り込もうと、「ナイトタイムエコノミー(夜間経済)」を活性化させる取り組みが進んでいる。たこ焼きやビリケンさんがドローンショーで夜空に浮かび、通天閣や飲食店は営業時間を延長した。

ビリケンさんが夜空に浮かぶドローンショー

10月2日午後7時過ぎ、新世界の上空に、通天閣に鎮座するビリケンさんが浮かび上がった。ハロウィーンにちなんで、「大阪 HALLOWEEN NIGHT」の文字や魔法使いも登場。LEDライトを積んだドローン約300機が約15分にわたって描いた。

立ち止まってスマートフォンで写真を撮る観光客もいた。韓国から訪れたパク・ジャンヒョンさん(32)は「ビリケンさんが大阪らしくて、かわいい」と笑顔で話していた。

この企画は、ドローンショー運営会社「協和産業」(大阪市浪速区)が6月に始めた。新世界に店舗を構えるパチンコ店運営会社の協力を得て、毎週金曜の夜に実施している。ドローン事業部本部長の加藤一真さん(47)は「観光客に立ち止まって見てもらい、その後は、飲食店に流れていってほしいという狙いがある」と話した。

歴史と課題

新世界は1903年(明治36年)、産業振興のために開かれた「第5回内国勧業博覧会」の会場となったことをきっかけに整備された。12年には初代通天閣が建設された。

戦後は日雇い労働者向けの食堂や居酒屋が並ぶ歓楽街となったが、労働者が早朝から現場に出向くため営業終了は早く、午後8時~9時頃には閉店していた。観光の街として生まれ変わった現在でも、早く閉まる店が目立ち、夜の集客力向上が課題だった。

大阪観光局によると、昨年に大阪府を訪れた外国人観光客は前年比21%増の1764万2000人で、過去最高となった。新世界にも多くが訪れている。

こうした状況を踏まえ、通天閣は今年3月、閉館時間を午後8時から、同9時45分に変更した。

昨年度の来館者数は約130万人で、運営会社「通天閣観光」の高井隆光社長(51)は「閉館間際に駆け込んでくるお客さんもいて、もっと夜を活用できたらと思っていた。地域の皆さんと協力し、新世界全体で『夜も楽しめる街』にしたい」と語った。

飲食店も営業時間を延長

飲食店なども、営業時間を延長している。串カツ店「日本一の串かつ 横綱 新世界本店」は2月、営業時間を午前0時まで1時間延長した。外観の点灯を増やすことも検討している。店長の細井剛幸さん(32)は「新世界を夜でも明るい街にし、安心して楽しめるようにしたい」と話した。

「スギ薬局通天閣店」は昨年11月、営業時間を変更し、24時間営業とした。

新世界町会連合会の近藤正孝会長(63)は「通天閣が営業時間を延ばしたことが大きく、新世界全体への波及効果がある。時代に合わせて変わる必要があり、終電まで遊べる街にしたい」と話している。

全国的な課題と今後の取り組み

ナイトタイムエコノミーの活性化は全国的な課題となっている。大阪観光局が今年、海外18か国と地域の7200人を対象に、ニューヨークやロンドンなど18都市と大阪を比較した市場調査によると、大阪は「夜遅くまで楽しめるエンターテインメント」の項目で15位だった。

溝畑宏理事長は9月30日の記者会見で「2030年までに、(統合型リゾートが整備される)夢洲と梅田、なんばをつなぐ夜間経済の動線を作っていく必要がある」と力を込めた。

府・大阪市などは今月3日から、大阪城と中之島エリアを結ぶナイトクルーズ船を就航させた。千葉市は25年度、千葉ポートタワーの展望台に夜間、ディスコを設ける取り組みを支援した。神戸市では、神戸観光局が港町のバーを英語で紹介するパンフレットを作成。東京都渋谷区では飲食店を英語で紹介する専用サイトが作られた。

明治大の飯田泰之教授(経済政策)は「欧米は、日本と比べて夕食の時間が遅い傾向にある。都市部の観光地では、コロナ禍の影響で2次会に行かなくなった日本人の消費を、訪日外国人客が埋めており、活性化は重要だ」と指摘した。