三重・四日市の書店「図書室ふたつの月」、店主が選ぶ5冊を紹介
三重・四日市の書店「図書室ふたつの月」、店主が選ぶ5冊

三重県四日市市の複合施設「おやまだ文化の森」から同市役所近くに移転した書店「図書室ふたつの月」の店主、東良朋子さんが、お薦めの本を紹介する。エッセーや手紙、絵本を中心にそろえ、誰かの暮らしを垣間見ることで様々な生き方や世界の広さを感じてもらいたいとしている。

京都出身の東良さんは高校卒業後に東京で暮らし始め、本好きが高じて大学などの図書館で働いていた。誰かの居場所を作るのが夢で、2025年1月に書店を開こうと四日市市へ移住した。今回は書店を開くきっかけになった人を取り上げた本や小規模出版社の本などを紹介する。

「物語は変わる」トナカイ(著)

1冊目は東京・多摩地域を中心に活動する写真家トナカイこと松本慎一さんの写真集「物語は変わる」。花の写真や花瓶など日常の風景を切り取り、作品全体に柔らかな光が差し込んでいる。2024年秋、おやまだ文化の森で開かれた松本さんの写真展を訪れ、昔ながらの建物がたたずむ姿に魅力を感じ、書店の開店を決意したという。知らない土地での挑戦には勇気が必要だったと振り返る。

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「須賀敦子の手紙」須賀敦子(著)

2冊目は「須賀敦子の手紙」。上智大学の教授などを務めたイタリア文学者の筆者が友人に宛てた直筆の書簡計55通がまとめられている。実らなかった恋、文学者としての葛藤などが包み隠さずつづられている。文字は丸みがあり、かわいらしい猫とハートをモチーフとしたはがきを使っている。上質で静謐なエッセーで知られる筆者と結びつかず、意外に感じたという。手紙は手書きだからこそ伝わる思いがあると述べている。

「あなたの木陰 小さな森の薬草店」萩尾エリ子(著)

3冊目は「あなたの木陰 小さな森の薬草店」。長野県にあるハーブの専門店「蓼科ハーバルノート・シンプルズ」の店主萩尾エリ子さんのエッセーで、季節ごとのハーブの楽しみ方が書かれている。ホスピスに入院して食事ができない友人に対し、香りを楽しんでもらおうと萩尾さんがアロマを持っていく姿に優しさを感じるという。

「輪島 小さな木地屋の物語」赤木明登(著)

「輪島 小さな木地屋の物語」は2024年の能登半島地震で倒壊した漆塗りの器を作る工房の再生の物語。震災後の復旧や輪島に生きる職人の世界を丹念に描いている。工房が再開した約2か月後に主人の池下満雄さんは亡くなるが、その間に弟子を1人育てた。どのような形でも工房を続けていこうとする姿に胸を打たれるという。

「親密圏のまばたき」柴沼千晴(著)

最後の「親密圏のまばたき」は東京で働く30歳代の女性の日記。近所で暮らす猫や映画といった日常の出来事が描かれ、自らと異なる視点の生き方を知ることができる。

店内には東良さん自身の蔵書を集めた私設図書館「三日月」も併設し、500円で会員になると自由に書籍を借りることができる。図書室のように静かに本を選べる環境を目指している。

店舗情報

本と文具「図書室 ふたつの月」は三重県四日市市諏訪町3の15いらかビル1階。営業時間は原則火曜~金曜の正午~午後7時。土、日曜は午前11時~午後6時。月曜は定休だが、祝日の場合は営業する。イベントの予定はインスタグラムで更新している。

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