大正から続く坂東のこんにゃく店、熟成製法で煮汁染みる味わい
大正から続く坂東のこんにゃく店、熟成製法で煮汁染みる味わい

大正時代から続く坂東市岩井のこんにゃく店「松本屋商店」では、何日もかけてアク抜きと熟成を行う昔ながらの製法にこだわっている。この店のこんにゃくは煮物にすると煮汁の味がしっかり染み込み、強い歯応えと相まって独特の味わいがあり、地元で根強い人気を誇っている。

熟成とアク抜きで生まれる弾力

同店でお薦めの「熟成弾力こんにゃく」と「生芋こんにゃく」を筑前煮にして食べてみた。いずれのこんにゃくにもシイタケやニンジン、カボチャの甘みが染み込み、かむと口の中に広がった。

熟成弾力こんにゃくは、大子町で採れるコンニャクイモの粉末のうち、最上級の「特等粉」だけをふんだんに使う。お湯に溶き、凝固剤を加えて練り込む。ペースト状になったものを型枠で固めた後、切り分けて熱湯に3日から1週間ほどつける。

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3代目店主の片倉徹さん(62)は「熱湯につけることでアク抜きと熟成が進み、味が染みやすくなり、弾力も出る」と語る。

生芋こんにゃくと製法の違い

生芋こんにゃくは、群馬県産のイモをすり潰して使用する。同じようにペースト状にして型枠で固め、熱湯につけてアク抜きと熟成を行う。同店の商品の中で最も味が染みやすく、歯応えが強い。イモの風味も残っている。

片倉さんによると、大量生産の工場などでは「生詰め製法」が採用されているという。ペースト状になったものをパックに詰め、固まったものがそのまま商品になる。手間は省けるが、アク抜きと熟成はほとんど行われず、味が染みにくいという。

家族で守る伝統の味

元々は米や麦、コンニャクイモの農家だった。大正時代に祖父が兼業でこんにゃく作りを始め、昭和初期に専業になったという。今は片倉さんと長男の慧人さん(33)ら家族4人にパート従業員2人を加え、計6人でこんにゃくを製造している。

しらたきや糸こんにゃくなど定番商品のほか、手でちぎって味が染みやすくした「もつ煮用こんにゃく」、田楽用に切って串を刺し、みそとセットにしたものもある。季節商品の「さしみこんにゃく」も人気だ。

店がある「さくら通り商店街」は、「ぬくもりと和らぎ」が基本理念だという。片倉さんは「近所の人とのつながりを大切にしながら、守ってきた味をこれからも提供していきたい」と話している。

店舗情報

「松本屋商店」(坂東市岩井4468)は坂東市役所から徒歩6分、圏央道坂東インターチェンジから車で約10分。営業は午前9時~午後6時30分。電話やファクスでも注文を受け付けている。日曜、祝日のほか、お盆と年末年始は休み。問い合わせは同店(0297・35・1301)へ。

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