観光客が消えた鎌倉で1日1000個売れる大仏さま焼きの舞台裏
鎌倉で1日1000個売れる大仏さま焼きの誕生秘話

鎌倉の観光地・小町通りにある和菓子屋「ともや」が、コロナ禍で観光客が激減する中、新たな名物「大仏さま焼き」を開発。SNSでの口コミが拡散し、1日1000個を売り上げるヒット商品となった。その誕生には、二代目夫婦の創意工夫と、偶然が重なったストーリーがあった。

観光客消失からの逆転劇

「ともや」はもともと今川焼きを主力商品としていたが、コロナ禍で観光客が途絶え、売り上げは低迷。そんな中、二代目の夫婦は新たな商品を模索していた。考案したのが、鎌倉のシンボル・大仏をかたどった「大仏さま焼き」だ。

「大仏さま焼き」は、ほほ笑む表情が愛らしい一口サイズの焼き菓子。生地は今川焼きの技術を応用し、中にはあんこやクリームが入っている。当初は店頭販売のみだったが、ステイホーム期間中にSNSで少しずつ広まり始めた。

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SNSが火付け役に

大ヒットのきっかけはインスタグラム世代だった。2021年から2022年にかけて観光客が戻り始めると、実際に店を訪れた客が「大仏さま焼き」の写真をSNSに投稿。それを見た若い世代が殺到するようになった。

「#鎌倉グルメ」「#鎌倉食べ歩き」といったタグで拡散され、食べ歩きスポットとして注目を集めた。さらに2021年春には日本テレビ「ヒルナンデス!」で紹介され、問い合わせが殺到。お取り寄せの注文でパンク状態になったという。

2022年のゴールデンウィークには1日1000個販売を達成。その後も売り上げは伸び続け、現在は季節を問わず行列ができる人気ぶりだ。

二代目夫婦の思い

「大仏さま焼き」の成功について、二代目の店主は「SNSで映えることは意識していたが、自分から仕掛けたわけではない。お客様のおかげ」と語る。自身はインスタグラムをやらず、写真も苦手だという。

しかし、若い世代が楽しそうに写真を投稿する姿を見て、「こういう小さなお菓子は映えにつながるかもしれない」と考えていたという。結果的に、口コミとメディア露出が相乗効果を生み、ヒット商品に育った。

店の経営を救った大ヒット

「大仏さま焼き」の年間売り上げは、かつての今川焼き時代に比べて大幅に増加。低迷していた店の経営を大きく救った。現在は「大仏さま焼き」以外のメニューも充実し、店内の飲食スペースで楽しむこともできる。

鎌倉の新たな名物として定着した「大仏さま焼き」。その誕生には、先代から続く和菓子づくりのこだわりと、二代目夫婦の柔軟な発想があった。観光客が消えた逆境をチャンスに変えた物語は、多くの人に勇気を与えている。

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