愛媛県松山市中心部にある郷土料理店「五志㐂」を訪れ、祝いの席で振る舞われる「鯛そうめん(姿身)」(2200円)を味わった。甘辛く煮付けた丸ごと一匹のマダイを、縁起の良い食べ物とされるそうめんと一緒に盛り付けた華やかな料理だ。
南予地方の祝いの席で親しまれる郷土料理
この料理は、元々は県南部の南予地域の婚礼や還暦などの祝いの席で出されるものとされる。八幡浜市出身で調理を約40年担当する田中道和さん(71)は、「祝いの席では大きなマダイの煮付けを、波に見立てたそうめんと一緒に大皿に盛って家族・親戚が一緒に食べる。家庭で食べる時は、扱いやすい切り身を使うこともある」と話す。
天然マダイと五色そうめんの取り合わせ
同店では、一人でも食べきれる15センチ前後の天然マダイを使用。下処理済みのマダイを熱湯にくぐらせ、酒、しょうゆ、みりん、砂糖で煮る。江戸時代から作られ、8代将軍徳川吉宗にも献上されたという地元の名産「五色そうめん」をゆでて氷水で締め、ネギ、山菜、錦糸卵などと彩りよく盛り付けて完成だ。
引き締まったマダイの身はほぐれやすく、淡い味付けがマダイのうま味と相まって絶妙。続いてそうめんを食べると、滑らかな食感が心地よく、箸が止まらない。
「ジャコカツ」もおすすめ
追加で注文した「ジャコカツ」(1個450円)は、近海でとれた小魚を骨ごとすり身にした郷土料理「じゃこ天」の生地にニンジンや調味料を加えてパン粉を付け、油で揚げた一品。揚げたての熱々をかむと、カリッとした食感に続き、潮の香りが広がる。何もつけずに食べてもおいしい。
豊かな海があればこその料理に、おなかも心も満たされた。
※価格は税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。



