取手市青柳に、土曜日だけ店を開く豚肉店がある。ショーケースに並ぶのは「バナナポーク」。バナナを飼料にした豚肉で、臭みがなく軟らかいのが特長だ。週1日の営業にもかかわらず、開店前から行列を作るほどの人気を集めている。
週1日の営業で行列、その人気の理由
毎週来店する50歳代の男性客は「3パック買って家族の夕食や弁当のおかずにする」と話した。店を運営する食肉会社「日本畜産振興」の社長安藤貴子さん(62)は「ファンが多く、うれしい」と喜ぶ。
同社の主要事業は食肉処理。市内の施設で月に約1万6000頭の豚を食肉用に加工している。そんな会社が、どうして「バナナポーク」を売り出すことになったのか。
きっかけはフィリピンでの発見
きっかけは、約20年前、安藤さんの実弟で営業部長の小山泰司さんがフィリピン・ミンダナオ島を訪れた際、現地の人が間引いたバナナを豚に与えているのを見かけたことだった。当時、日本国内では取引先の養豚農家が高騰する飼料代に苦しんでいて、泰司さんはバナナを飼料にできないか考えた。
試行錯誤の末、皮をむいたバナナを乾燥させて細かく砕き、飼料に配合する方法にたどり着いた。さっぱりして甘みがある豚肉になった。ただ、豚の肥育期間が通常より20~30日ほど長くなった。コストが高くなり、バナナの飼料を普及させることはできなかった。2010年、泰司さんは42歳で病気で亡くなった。
弟の遺志を継いで販売開始
翌年、安藤さんは「バナナポーク」を売り出す決断をした。営業部門からは「利益になりません」と止められたが、「弟のためにも、おいしい豚肉を広く食べてもらいたい」と考えた。稲敷市内の自社農場などで少量生産している。
売り出した理由はもう一つある。安藤さんは「バナナポークをきっかけに日本畜産振興という会社をもっと知ってほしい」と考えている。父親が起こした会社だが、「『食肉処理場は迷惑施設』と見られることがあり、子供の頃にはつらい思いをしたこともあった」と打ち明ける。
販売店と返礼品
社長になった今、「食卓に欠かせない豚肉の生産を支えていることを誇りに思っている」と胸を張る。「ぜひバナナポークを食べてください」と安藤さんは笑顔で勧める。(西村洋一)
バナナポークの販売店は「スマイル青柳店」(取手市青柳806の1=土曜午前8時30分~午後1時のみ)と「スマイル戸頭店」(同市戸頭1142の1=木曜午後1~6時、金曜午前10時~午後6時)の2か所。取手市のふるさと納税の返礼品にもなっている。問い合わせは日本畜産振興(0297・73・2901)へ。



