愛知県豊田市のチーズ工房「Faber(ファーベル)」を経営する職人、安田翔吾さん(30)が、11月にスペインで開催される世界最大のチーズコンテスト「ワールドチーズアワード2026」に、熟成チーズ「MIKAWA(三河)」を出品することが内定した。今年2月には国内のチーズコンテストで金賞、6月には大規模なコンテストで1点のみの「チャンピオン」に輝いており、「次は世界大会で、好成績をとって国産チーズ作りのレベルの高さを証明したい」と意気込む。
中学生の頃に抱いた夢
安田さんは愛知県みよし市出身。チーズ職人を志したきっかけは、中学生の頃にテレビで見た酪農農家やチーズ職人の姿だった。高校、大学とその思いは強まり、北海道大農学部畜産科学科に進学。1年間休学してイタリアやスイス、国内の酪農チーズ会社で現場体験を積んだ。その時に初めて自分で考えたレシピで作ったチーズを購入した知人らは「絶対リピートする」と話してくれたという。
卒業後は栃木県のチーズ工房に就職し、開発責任者として手がけたチーズが世界コンクールで賞を獲得。「受賞時は独立準備に入っていたが、チーズ職人としてやっていけると感じた」と振り返る。
工房経営とチーズへのこだわり
2024年12月に豊田市内で工房を開いた。おいしいチーズをつくるだけでなく、経営を軌道に乗せ、将来は乳牛を飼育し、原料のミルクからチーズまで手がけるのが目標だ。レストランやホテルへの卸売りに加え、直接販売にも力を入れる。
現在製造しているチーズは7種。口当たりが柔らかくミルク感のあるモッツァレラなどのフレッシュタイプと、じっくりとうま味を出す熟成タイプがある。熟成タイプのセミハードチーズ「MIKAWA(三河)」は、約5か月の熟成期間を経た黄金色の外皮が特徴で、穏やかなミルクの甘みやナッツのようなうま味を持つ。コンテストでチャンピオンに輝いた逸品だ。
「豊田市は、自動車メーカーで海外勤務経験者が多く、うちのチーズの味や香りで『(当時を)思い出した』と喜んでくれるお客さんも多い」と話すように、口コミを中心に評判は上々だ。
世界への挑戦
工房名の「Faber」は、ラテン語で職人を意味する。「口にした人が幸せな気分を感じられるチーズを作り続ける職人でありたい」と固い決意をにじませる。
工房は豊田市若草町3の26の2にあり、営業時間は金土日の午前11時~午後4時。イベントなどで臨時休業の場合がある。愛知環状鉄道梅坪駅から徒歩12分。



