俳優になる前は書道に関わる仕事を志していた吉岡里帆が、学生時代に映画のエキストラへ参加したことで「価値観がぶっ壊されちゃいまして」と振り返るほどの衝撃を受け、俳優の道へ進んだ経緯を明かした。これまで歩んできた道から大きく方向転換することへの葛藤、背中を押してくれた書道家の言葉、自身の経験から考える仕事選びの軸について語っている。
エキストラ参加がきっかけで価値観が一変
吉岡は俳優になろうと思った一番のきっかけについて、映画のエキストラに参加したことだと説明する。京都の撮影所の近くで生まれ育ち、学生時代は嵐山でアルバイトをしていたという。そこでエキストラ会社の人が「週末の撮影、エキストラが足りていないんだよね。できるだけ多く、元気な若い子たちに参加してほしいんだけど」と人を探していたことから撮影に参加し、衝撃を受けた。
大学まで書道を続けていた吉岡は、書家や国語の先生、書道用品を取り扱う会社など、書道に関わる道に進みたいと考えていた。しかし、エキストラで映画の撮影に参加した瞬間に価値観が変わったという。書道は1人で作品と向き合う世界である一方、撮影現場には何百人という人がいて、その全員でたった数秒のシーンを撮っていることに衝撃を受け、「こんなに大勢でもの作りができたら楽しいだろうな」と思ったことが俳優を目指すきっかけになった。
撮影現場での出会いと上京の決断
その撮影現場では、ほかにもさまざまな出会いがあったという。エキストラで隣にいた映画監督志望の学生から「もし良かったら、夏の課題映画に出てもらえませんか?」と声をかけられたり、別の舞台関係者からチケットをもらって小劇場の世界を知ったりした。さらに、参加した映画が滝田洋二郎監督の作品だったことから、滝田監督から「東京に来て養成所に通って、勉強して俳優を目指したらいいのに」と勧められたことを明かし、「私はそれを鵜呑みにするという(笑)」「若さの勢いで『東京行くぞ!』みたいな感じでした(笑)」と振り返った。
一方で、なかなか両親の許可が得られず葛藤があったことも告白。そんな中、ある書道家の先生から「書道は幾つになってもできるから、せっかくそんな胸をときめかせるようなものに出会ったなら、その道を開拓していくのも人生として素晴らしいわ。私、応援するわよ」「いいのよ、全然。夢は変わっても」と言われ、「こう言ってくださる人もいらっしゃるんだ」と思い、その言葉にすごく救われたと語った。
仕事選びで大切にしている軸とは
仕事を選ぶ際に軸にしていることについて、吉岡は「職種は違えど、どれも大変は大変じゃないですか。仕事をするって、絶対に楽しいことだけじゃないのは分かりきっているので」と前置きし、「そういう大変さがあっても、ちゃんと最後まで大事に思えるのか。そして、その仕事は好きなこととつながっているのか。シンプルに、そこですかね」と語った。
自身も「なんで急にこんなに夢を変えてしまったんだろう」「なんて沼に足を入れてしまったんだ」と思ったことが何度もあったが、「あの瞬間のときめきとか、『この仕事に人生の限られた時間を費やしていい』と思った自分の気持ちは変わらなかった」と説明。その上で、「例えばその会社がしていることだったり、理念だったり、『これは何があっても信じられるぞ』と思えるところを見つける。そういうことが大切なのかなと思います」と締めくくった。