ソロデビュー50周年を迎えたシンガー・ソングライターの矢野顕子(71)が、東京・渋谷のNHK放送センターで、ウィル・リー(ベース)とクリス・パーカー(ドラム)とのトリオでセッションを繰り広げた。収録されたのは、米国発の人気音楽コンテンツの日本版で、NHKのテレビ国際放送「NHKワールドJAPAN」で放送される「tiny desk concerts JAPAN」。名曲「ラーメンたべたい」など珠玉の5曲を披露し、優しい音楽で食欲まで刺激する「アッコ節」を響かせた。
変わらない3人の絆
矢野は1976年7月、米ロックバンド、リトル・フィートのメンバーと共演したアルバム「JAPANESE GIRL」でソロデビュー。リーと初めて一緒にプレーしたのもこの年の冬だった。リー、パーカーとともにNHK放送センターの一角に姿を現したのは今月1日午後。オフィスの“小さな机”でパフォーマンスする同番組の収録のためだ。
観客のNHK職員を前に「3人の絆は変わっていない」と胸を張る矢野は、ピアノとキーボードを繊細なタッチで奏でながら、スピーカーを介さずに生声で歌唱。リーとパーカーが阿吽の呼吸で寄り添って演奏が繰り広げられた。
締めは「ラーメンたべたい」
まずは今年7月にリリースした50周年記念アルバム「生きものたちへ」から3曲続けて披露。軽快なテンポの「海男と瑠璃亜」でスタートした。続けて、宇宙飛行士の野口聡一氏とその家族との交流から生まれ、「特に気に入っている」というバラード「YOU ARE SPECIAL TO ME」、NHK「みんなのうた」のために書き下ろした「THE RIVER」を歌った。
その後は「皆に愛されている曲をやります」と語り、忌野清志郎とのデュエットでも印象深い「ひとつだけ」を熱唱。締めの曲は「ラーメンたべたい」だ。リーとパーカーが生み出すグルーブに乗って、気持ちよさそうに歌う姿に観客は魅了された。収録を終えると、番組スタッフは職員に「お仕事に戻っていただき、お時間がある方は1食でラーメンを食べていってください」と呼びかけた。
中身は変わらず
収録後、矢野はリーとパーカーを野球のキャッチャーにたとえて「どんな球を投げようが、キャッチしてくれる。たまに大変なミスをして点差が大きく広がっても、負けるときも勝つときも一緒。安心してできる」と絶賛。「うまい人と組めば自動的にできるものではない。人間性のつながりが大きな特徴かもしれません」と分析した。
現場の机には「JAPANESE GIRL」のレコードも飾られた。50周年を迎えた心境を聞くと、「気が付いたら60歳になり、70代になっている。でも、中身は実は変わってはいないんですね」と語った。「中身が変わっていない限り、新たな音楽を作りたいって気持ちは変わりない。その状況、年齢に応じて作っていく。来年は51周年なんで、よろしくお願いします」と声を弾ませた。
11月18日からは大阪・西梅田のサンケイホールブリーゼを皮切りに、「生きものたちへ」にも参加した小原礼(ベース、コーラス)、林立夫(ドラム)、佐橋佳幸(ギター、コーラス)、Aisa(ギター、コーラス)と恒例の「さとがえるコンサート」を各地で展開する。「アッコちゃん」の快進撃はまだまだ続きそうだ。