ベネチア3冠映画『LOST LAND』が描くロヒンギャ難民の過酷な現実と人間の盾疑惑
ベネチア3冠映画が描くロヒンギャ難民の過酷な現実

ベネチア国際映画祭で3冠を達成した映画『LOST LAND/ロストランド』(藤元明緒監督)が、ロヒンギャ難民の過酷な現実を描き、国際的な注目を集めている。本作は、実際のロヒンギャ難民を起用し、強制徴兵や「人間の盾」としての拉致、密航の危険など、世界で最も迫害されている民族とされるロヒンギャの実情を克明に映し出す。

映画の手法とロヒンギャ難民の起用

藤元監督は、ドキュメンタリーに近い身体の振る舞いをフィクションという大きな構造の物語の中に導入する手法を採用。遠いキャラクターを演じるのではなく、本人が持っている社会的役割を物語に持ち込んでもらうという。監督は「ロヒンギャ難民と顔が似ているバングラデシュ人俳優では意味がありません。実在するロヒンギャの方々を起用することが大前提でした」と語る。

強制徴兵と人間の盾の実態

2017年8月の大虐殺事件後も、50万人から60万人のロヒンギャが留まるミャンマー・ラカイン州の大部分は、国軍と抵抗勢力の少数民族武装勢力が衝突する戦闘地帯となっている。ロヒンギャの若者たちが強制的に徴兵・拉致され、衝突の最前線に「人間の盾」として送り込まれるという残虐な事態も発生しているとされる。

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バングラデシュの難民キャンプの過酷な状況

バングラデシュのコックスバザール周辺のキャンプには、115万人以上のロヒンギャ難民が密集して暮らしている。しかし、バングラデシュ政府は彼らを難民として正式に認めておらず、キャンプ外への移動、就労、公的な教育を受ける権利を厳しく制限している。こうした絶望的な状況の中、映画で描かれるように、密航船でマレーシアやインドネシアを目指すロヒンギャもいるが、木材でできた粗末な船での航海は危険極まりなく、多くの人々が事故で命を落としている。

ベネチア国際映画祭での反響

ベネチア国際映画祭での上映では、1500人の観客とともに映画を見た藤元監督は、エンドロールが流れたときの嘘のない熱気を実感したという。主演のソミーラとシャフィは無国籍でパスポートがないため、映画祭に参加できなかったが、彼らの席は確保されており、その空席に向けて会場の方々が拍手を送った。この出来事に監督は大きな喜びを感じたと語る。

日本とヨーロッパでの反応の違い

日本とヨーロッパでは、難民問題への関心の差が反映される可能性がある。日常的に難民が流入するヨーロッパの国々での上映は、日本とは異なる反応を生むかもしれない。次ページでは、日本の観客にとって「遠い国の話」と捉えられがちなこの問題について、さらなる考察が続く。

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