「ほんとにすげえバンドなんだな」TUBEが40周年映画で見つめ直した“TUBE”【インタビュー】
「ほんとにすげえバンドなんだな」TUBEが40周年映画で見つめ直した“TUBE”

デビュー40周年を迎えたTUBEが、その集大成となる『劇場版 TUBE 40th Anniversary Live & Documentary 〜40周年の航海記〜』(8月28日全国公開)について語った。本作には、ビザ取得をめぐり開催が危ぶまれた約20年ぶりのハワイ・ワイキキ公演を皮切りに、通算36回目の横浜スタジアム公演、全40公演に及ぶ全国ホールツアーなど、1年間の歩みが詰め込まれている。大スクリーンと高音質で楽しめるライブシーンからは、40年をともに歩んできた4人の熟練したミュージシャンシップが鮮明に伝わり、ライブバンドとしてのTUBEの魅力を改めて感じさせる作品となっている。

メンバーも驚いた「なんでもできるバンド」

前田亘輝(Vo)が最も印象に残ったと語ったのは、2021年にコラボレーション企画を行ったANAのキャプテン(機長)とのふれ合いのシーンだった。同企画では、ANAの社員バンドが前田とコラボレーションし、「BLUE WINGS」を演奏した。「キャプテンがハワイに来てくれたのはドラマでしたよね。『ハワイでまた一緒に演奏しよう』って約束していたけどコロナ禍で果たせなくて。それで定年を迎えられた最後のフライトでワイキキ公演に来てくれて。あのシーンはジーンときたし、うるうるしましたね」と振り返った。

ツアーファイナルのラストで披露した「Keep On Sailin’」のシーンについては、「最後の『Keep On Sailin’』のシーンは泣きそうになりました。自分の映画を観て泣くのは嫌だから、必死で耐えてましたけど(笑)」と照れ笑いを浮かべた。

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春畑道哉(Gt)も同曲を印象的なシーンとして挙げ、「(前田が)魂で歌っていたから、自分もギターを魂で弾いていたというか、そういうレベルになってましたね」と映像に収められた自身の姿に驚きを見せた。角野秀行(Ba)の胸に残ったのは、40周年を支えてくれた人たちの存在。「人とのつながりがあったからここまで来られました」としみじみ語り、空撮で収められた横浜スタジアムの光景には「うわ、こんなにいるんだ!って感動しました」と声を弾ませる。松本玲二(Dr)も「ファンの人たちの笑顔と涙。ぐっときましたね。僕たちと一緒にライブを作ってくれていると改めて感じました」と、ファンへの思いを口にした。

そんなメンバーの話を聞いていた前田は、「ほんとにすげえバンドなんだなって思いましたね。自分たちは自分たちのことをわからないじゃないですか」と笑う。ワイキキ、ホール、野外と異なるステージが一本の作品としてつながったことで、「なんでもできるバンドなんだなっていうのは、すごく思いました」と改めて実感したという。全国を細かく巡ったホールツアーにも思うところがあった。「本当に大変でしたけど、バンドの基本っていうのはそこにあるんだなっていうのは、映画を通して改めて思いました」と、40周年ツアーを走り切った今だからこその言葉を口にした。

40年続く秘訣は「雑談」

なぜTUBEは40年間、一度もメンバーが変わることなく活動を続けることができたのか。前田に聞くと、返ってきたのはシンプルな答えだった。「チームでの約束はないんです。でも、ツアーに行ったら、ライブが終わった夜は、メンバー、サポートも含めて必ず一緒に飯を食う。飯食って酒飲めば、反省も出てくるし、改良する場面も出る。それぐらいしかルールってないんですよ」

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その食事の席が、次のライブを作る場所にもなる。春畑は「みんなでご飯を食べることによって、『明日はこうしよう』『ちょっと立ち位置変えてみよう』とかって毎回アイデアが出てくるんですよ。だから同じセットリストのツアーでも日々変わっていくんです」と明かす。角野も「雑談」の大切さを語る。「『広瀬(香美)さんと一緒に曲をやったら面白いよね。ちょっと電話してみよう』とか、最後の『Keep On Sailin’』も、ツアー中に『やっぱり最後はやりたいね』って話になってたり。雑談しながら具現化していくものがすごく多いんですよ」。何気ない会話からアイデアが生まれ、それを本気で形にしてしまう。そんな「面白そうならやってみる」の精神、メンバーに言わせると「中学生みたいなマインド」でTUBEは40年間走ってきた。

もちろん、その道のりは決して順風満帆だったわけではない。本作でもビザ取得をめぐり開催が危ぶまれたワイキキ公演や、台風が接近したツアーファイナルの緊迫した舞台裏が描かれている。過去には野外ライブで落雷に見舞われたこともあった。角野は「落雷のときも関係者みんなが動いてくれて。全員一回避難して、けがもなく、再開できた」と2017年の横浜スタジアム公演を振り返る。すると前田も「全部の電源が飛んでいるはずなのに、奇跡的にPA電源だけ助かってた。音は出せる、でも明かりはつかない。どうするっていうときに、球場の人が『じゃあライトつけたるわ!』って」と当時の光景を鮮明に思い起こし、「本当に人と人の絆に支えられているバンドなんだなって」としみじみ。映画の中に映し出された40周年の景色と、これまで乗り越えてきた出来事を振り返り、4人は改めて「人とのつながり」に支えられてきた40年を実感していた。

41年目以降も「面白そうならやってみる」

では、その先の41年目以降はどんな未来を描いているのか。前田の答えは、いかにもTUBEらしい。「長いスパンで物事を考えられないやつらなんですよ。年内のプランが限界。今はもう目の前のことで頭がいっぱいで、それが終わると今度は次のことで頭がいっぱい。またみんなでお正月を迎えて飯食って飲む」

春畑も「毎年1月にみんなで集まって、『今年こんなことしよう』『こんな曲やろう』っていうところから始まるんですよね」と笑う。毎年ゼロから考えて、面白そうなことがあれば挑戦する。その繰り返しが、気づけば40年になっていた。そんな話をしていると、早くも新たな“雑談”が始まった。前田が突然、「ふと思ったんだけど、劇場で1ヶ月公演とかいいかもしれないね。歌あり、芝居あり。映画を観てたら、みんな役者に見えたし。できるんじゃない?お芝居」とアイデアを口にする。すると松本が「俺は斬られ役か」と返し、一同は大笑い。前田も「いや、お前は主役いけるよ」と応じる。このアイデアもいつか本当に形にしてしまうかもしれない。そんなTUBEらしさは、40周年を迎えた今も変わらない。

「“THE”を取ったのがよかった」

インタビューの最後、「40年前の自分に一言かけるとしたら」と尋ねると、前田は当初から40年間バンドを続けるつもりだったわけではなかったことを明かした。「バンドが始まった頃からリーダーみたいなことをやらされていますけど、自分の中では3年って思ってたんですよね。3年やったら辞めてもいいかなって。もともと制作側にいきたかったので」

そして、続けてこう語った。「意外に人生は、思ってる方と違う方に行ったほうがうまくいくときもあるよっていう。なりたいもので悩んじゃってたら、逆側にいっても、俺みたいになんとなく生きていけるかも」

思い描いていた道とは違う場所から始まり、気づけば同じ4人で40年。前田は「やめなくてよかったなって俺は言いたいかな」と笑い、「TUBEは専門店にはなりきれない、“デパート”みたいなバンドだけどね」と続ける。春畑も「(オルケスタ・)デ・ラ・ルスの前でラテンやったときは恥ずかしかったもんね」と当時を懐かしんだ。専門店ではなく“デパート”。ジャンルにとらわれず、「面白そうならやってみる」を繰り返してきたTUBEらしい表現だ。そんな話からデビュー当時へと記憶をたどっていくと、今度はかつてのグループ名“THE TUBE”の話に。占い師から「“THE”を取ったほうがいい」と勧められたことを振り返り、角野が「たぶん“THE”を取ったのがよかったんだよな」とぽつり。前田はすかさず「そう、何でも言われたことやるもんね!」と笑った。

思い描いた道とは違っても、面白そうならやってみる。時には占い師の言葉にだって乗ってみる。そんな40年の積み重ねが、前田自身も驚いた「ほんとにすげえバンドなんだな」というTUBEの姿につながっているのだろう。