「釣りバカ日誌」誕生秘話:やまさき十三さんが語る連載開始の背景
釣りバカ日誌誕生秘話:やまさき十三さんが語る連載開始

「釣りバカ日誌」の原作者、やまさき十三さん(本名・山崎十三)が、連載開始に至るまでの経緯を明かした。やまさきさんは30代半ば、千葉県浦安市に引っ越した後、ハゼ釣りを楽しむ人々を見て再び釣り竿を握るようになった。自宅近くから釣り船も出ており、徐々に釣りにのめり込んでいったという。

釣り漫画のオファーと葛藤

映画監督の夢を一旦置き、漫画の原作を手掛けるようになったやまさきさんだったが、大ヒット作には恵まれなかった。そんな中、知り合いの小学館編集者、林洋一郎さん(故人)から「釣り漫画をやらないか」と声がかかった。掲載誌は漫画雑誌「ビッグコミックオリジナル」の増刊号で、1回読み切りの枠があった。「ダントツの人気雑誌。載ればかなりの名誉」とやまさきさんは気持ちが高まった。

当時は「週刊少年マガジン」で、主人公の少年が全国の渓流で腕を競う「釣りキチ三平」(矢口高雄さん著)が人気を博していた。やまさきさんは「そんな専門性の高い漫画は無理だが、自分のように釣りにのめり込んでいく人の話なら書けるかもしれない」と引き受けた。

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主人公はサラリーマンに

主人公はサラリーマンに設定された。やまさきさんは「古今東西で最も不自由な生活をしている」とサラリーマンを捉えており、「なかなか釣りに行けない人の話の方が面白いだろう」と考えたからだ。絵の担当は、人気漫画家のアシスタントだった北見けんいちさん(85)が務めることになった。

こうして、趣味のない建設会社の平社員・浜崎伝助(ハマちゃん)が上司の誘いで船釣りに行き、のめり込んでいく短編漫画が1979年5月に掲載された。やまさきさん自身は「地味な作品」と自己評価していたが、反響は予想以上に大きかった。やまさきさん38歳、北見さん39歳の遅咲きコンビによる連載は、その4か月後にスタートした。

連載初期の時代背景

連載が始まった1970年代末は、休日や家庭を犠牲にして働くサラリーマンが多かった時代だ。やまさきさんは「ハマちゃんに自由を感じたのかも」と振り返る。ハマちゃんの自由奔放な釣りライフは、当時の読者にとって憧れの象徴だったのかもしれない。

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