鳥取県米子市出身の落語家・立川らく人(と)さん(本名・土井真也、41)が、落語立川流の昇進試験に合格し、最高位の「真打ち」に来春昇進する。今月24日には同市内で合格後初の独演会があり、「古里・鳥取に恥じない落語をしたい」と意気込む。
県内初の真打ち誕生へ
真打ち昇進は来年4月1日で、県内第1号となる。同じく真打ちに内定している三朝町出身の滝川鯉白(りはく)さん(鯉昇門下)も同月11日に昇進する予定で、同時期に県内出身の真打ちが2人誕生する。
らく人さんが初めて落語に出会ったのは小学生の頃。テレビで見た落語家の声やしぐさだけで、見えないはずの情景が頭に浮かんだ。「こんな芸能があるんだ」と衝撃を受けた。
談志に憧れ、志らくに入門
米子では生の落語を聞く機会がほとんどなかったが、横浜国立大(横浜市)進学後は関東の寄席や落語会に通った。流派を問わず様々な落語家の高座に触れるうち、特にひかれたのが立川談志さん(2011年死去)だった。古典落語を大胆にアレンジする発想力と、型破りでユーモアのある人柄に魅せられた。
大学3年で進路を考えた時、会社員として働く姿は想像できなかった。幼い頃から一人でいる方が好きで、「まともに勤めるのは無理だ。落語家を目指そう」と決意。2011年4月、談志さんの話芸を継ぐ志らくさんに入門した。
実力主義の立川流で修業
東京の落語界の階級は、見習いを経て「前座」「二ツ目」「真打ち」と進む。真打ちは寄席でトリを務められるほか、弟子を取ることも許される。年功序列で昇進が決まる一門が多い中、立川流は実力主義を貫く。
前座時代は師匠の身の回りの世話などに追われながら修業を重ね、15年2月、自ら独演会を開ける「二ツ目」となった。二ツ目昇進直後、203席を16年かけて演じる企画「落語大全集」を進めていた志らくさんに、「自分の独演会でも、師匠と同じ『落語大全集』をしたい」と直談判した。志らくさんから返ってきたのは「了見はいいが、できるわけがない」という言葉だったが、その言葉を励みに、師匠の背中を追いながら落語と向き合い続けた。
真打ちは通過点、芸の極みを追求
入門から15年がたち、満を持して最高位への挑戦に踏み出した。立川流では、一般公開の試験「真打トライアル」で実力を証明し、師匠に認められることが昇進の条件となる。今年6、7月、東京で「富久」「火焔太鼓」「紺屋高尾」などの大ネタを含む計6席を披露。志らくさんは「『紺屋高尾』にはあなたの正直さがよく出ていた。お客を退屈させず逃さなかった」と認め、真打ち昇進のお墨付きを与えた。
落語に打ち込み続けた15年を振り返り、「勤勉に働くのが嫌で落語家になったのに、人生、思ったようにはいきませんね」と笑うらく人さん。真打ちはゴールではなく通過点だという。「もっとお客を笑わせ、感動させるにはどうしたらいいか」。芸の極みを追い求める旅は続く。
24日の独演会は米子コンベンションセンターで午後7時から。前売り料金は1500円、当日券(2000円)もある。問い合わせ先は立川らく人後援会(090・9735・8255)。



