原則23歳以下の若者を対象に、41職種にわたって職業技能を競う「技能五輪」の全国大会。専門学校岡山ビジネスカレッジ(岡山市北区)の3年生だった昨秋、愛知県で行われた大会の洋裁職種に予選を勝ち抜いて出場した。たった2日間(計10時間)で裁断から縫製までの一連の工程をこなし、1着の女性用ジャケットを仕上げる。指定された条件を踏まえながら、いかに正確に、いかに美しくできるか――。その完成度の高さが問われた。
金賞・厚生労働大臣賞を受賞
2年に1回開催される国際大会の選手選考も兼ねており、年齢的には国際大会を狙える最後の機会。「後悔することなくやりきりたい」との一心で、訓練に励んできた。結果は、優勝にあたる金賞・厚生労働大臣賞。今月22日に上海(中国)で開幕する第48回技能五輪国際大会に日本代表としての出場権も獲得し、「努力が報われた」と喜ぶ。
服飾の道へ
岡山市南区出身。フェルトなどでおままごとセットを作ってくれた母の影響もあり、図画工作が好きな子どもだった。「無から有をつくるのが楽しかった」という。
それでも中学時代に夢中になったのは、創作活動とはかけ離れたダンス。3年の時には全国優勝するほどの実力も、いざ高校の進路を真剣に考えた時、「手に職を付けて、新しい道に挑戦したい」との思いが芽生えた。SNSや雑誌の影響で洋服に興味を持ち始めたこともあり、服飾を学べる学科がある県立岡山南高校を選んだ。
成長の軌跡
それまで服飾に触れたのは家庭科での授業程度。高校では糸の種類から布の特性といったことを一から学び、「どうやって縫っていくか」を考えることが楽しかった。どんどんのめり込み、ビジネスカレッジに進学した。
ただ、1年生で初めて挑戦した技能五輪の予選会では当時の実力を思い知らされることになる。時間内に仕上げることに精いっぱいで、ミシンの縫い目の仕上がりなど細かいところまで気が回らず、予選敗退。悔しくて、今でも振り返ると涙が出てくるほどだ。
そこからより明確に技能五輪を意識し始め、技術や知識の吸収に貪欲になった。先輩が訓練しているところを観察しながら縫い方を研究し、それを自分で試してみて、できなかったらアドバイスを請う。授業で完成した作品が並べられた時は、あえて自分の中で優劣をつけて自分が苦手なところから目を背けないようにし、着実に力をつけていった。
国際大会への挑戦
今春、母校であるビジネスカレッジのグループ企業で、アパレルメーカーの「カイタックファミリー」に就職したが、母校への出向という形で、訓練に集中できる環境を与えてもらった。6月には技能五輪国際大会のプレ大会ともされる別の国際大会で優勝。「限られた時間の中で良い作品を作るための取捨選択ができるようになった」と自身の成長を分析する。
モットーは「着た人を笑顔にできる服作り」。日常的に着て楽しいと感じてもらえるような服を作りたいと思っている。国際大会は、様々な国の選手たちの技術などを間近で見ることで、さらなる成長につなげるつもりだ。目指してきた夢の舞台。それは、理想の服飾家に近づくための新たな一歩でもある。(大村知輝)



