写真家の大村克巳氏が、自身の作品を通して写真とアートの持つ力を綴る連載「Sight Line」。今回は、2012年夏に行われたロンドン五輪のメダリストパレードで撮影した写真を紹介する。神々しさすら感じたメダリストの輝きと大観衆の熱狂、人々の心を照らす尊い光に思いをはせる。
2012年、真夏のパレード
2012年8月20日、東京・銀座で開催されたロンドン五輪のメダリスト凱旋パレードは、これまで経験したことのない熱狂に包まれた特別な瞬間だった。五輪メダリストの凱旋パレードは史上初で、東日本大震災の翌年という特別な背景もあった。
真夏の強烈な光と、歓声を上げる人々の汗。メダリストたちは赤いブレザーをまとい、メダルという太陽が喜びを求めている人々を照らしている。
窓越しに捉えた神々しい光景
大村氏は銀座の通りに面した美容院の一角を借り、その窓から通りを埋め尽くす人々を記録していた。大きな窓から飛び込んでくる「熱狂」を静かに受け止め、ファインダーをのぞいていると、その光景がとても神々しい儀式に感じられ、まるで祭りの神輿がゆっくりと通り過ぎていくかのようだったという。
通りのアスファルト、選手団と人々の垣根が解けて消えてゆく不思議な感情に包まれた。突き上げる手、笑顔、声、プラカードがアスリートの輝きと一つになる。街全体がまばゆい光のエネルギーの塊に見え、畏怖の念すら感じた。
「救いと復興の光」への願い
2012年の銀座を照らした太陽が「救いと復興の光」だとするならば、現在の被災地に容赦なく照りつける光はあまりにも不条理で残酷だ。暑さや苦しさや不安に耐え続けている被災地の方々に、穏やかな希望の光が少しでも早くおとずれることを願ってやまない。



