Google、法務特化AI「Gemini Enterprise for Legal」発表 Claudeと正面対決へ
Google、法務特化AI「Gemini Enterprise for Legal」発表

Google Cloudは2026年8月、法務業務に特化したAI「Gemini Enterprise for Legal」を発表した。弁護士業務に必要なスキルと、AIと外部システムをつなぐ規格「MCP」経由の外部システム接続をパッケージ化し、厳格な秘匿性やアクセス制限を備える。

弁護士スキルと外部システムを統合

構成は4つ。弁護士業務向けの「スキル」、法務システムとの接続機能、外部企業のAIエージェント、そして基盤となるGemini Enterpriseそのものである。スキルは準備書面の起案、引用文献の検証、契約ライフサイクル管理、規制動向の自動監視、本人からの個人データ開示請求(DSAR)への対応などを想定する。

接続先には、カナダの情報サービス大手Thomson Reuters、文書管理の米iManageと米NetDocuments、証拠開示の米RelativityOneと米Everlaw、電子署名の米Docusign、米法務AI企業Harvey、スウェーデンの法務AI企業Legora、米判例データベースCourtListenerなどが並ぶ。導入支援には米Accenture、米Deloitte、米KPMGといったコンサルティング各社も加わった。

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Google Cloudのトーマス・クリアン(Thomas Kurian)最高経営責任者(CEO)は「エージェント型AIによって、法律家は過去の判例を横断的に調べ、複雑な論証を組み立て、単調な作業を自動化できる。ただし、その一連の流れが正確で、事実に基づき、法的な根拠に裏打ちされていることが決定的に重要だ」と述べた。

秘匿性とアクセス制限を徹底

秘匿性の設計も前面に出した。顧客データやプロンプト、出力は組織のプライベートクラウド内にとどまり、基盤モデルの学習には使われない。コネクター経由で既存のアクセス権限をそのまま引き継ぐため、利益相反を防ぐ事務所内のアクセス制限(チャイニーズウォール)も自動的に反映される。調査結果はモデルの学習データではなく、一次情報に基づくとしている。

先行導入したのは米法律事務所Cleary Gottlieb、英法律事務所Freshfields、米法律事務所Weil Gotshal & Manges、米法律事務所Williams & Connollyの4事務所だ。Clearyのマネージングパートナーであるジェフ・カープフ(Jeff Karpf)氏は「日々使う他のツールとそのまま馴染み合う」点を評価。FreshfieldsのグローバルマネージングパートナーであるAlan Mason氏は、Google Cloudとの複数年にわたる戦略的提携だと説明した。

Claudeとの真っ向勝負

法務分野は2026年に入って主要AI企業の激戦区になっている。Anthropicは5月12日に「Claude for Legal」を投入し、12の実務分野別プラグインと20を超える外部接続を一挙に公開した。OpenAIも法務向けの縦割り(業界特化型)製品を準備中と伝えられている。米Microsoftも法務エージェントを備え、米Palantir Technologies(Palantir)や米Perplexityもこの市場を狙う。

興味深いのは、陣営の線引きがはっきりしないことだ。HarveyやLegora、Thomson Reutersは、AnthropicとGoogleの両方につながっている。Freshfieldsも5月時点でClaudeを実務現場に導入した事務所として名前が挙がっていた。法律事務所も法務テック企業も、当面は1社に賭けない構えを見せている。

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