「昭和の暗闇を訴えたつもりだったが、まさか令和でも、続いているとは!」。作家の姫野カオルコさんは7月7日、ネット上で朝日新聞の記事をシェアし、驚きをつづった。その記事とは、小学校の体育授業時に男女一緒に着替えている学校が今も多数あることを、朝日新聞が全国の主要74市区への独自アンケートをもとに報じたものだ。
「くらやみ小学校」で描いた光景が現実に
姫野さんは昨年、1960年代の小学校を舞台にした小説「くらやみ小学校」を出版。その中で、男女同室で着替える子どもの気持ちを克明に描いていた。「あの小説では、昭和の時代を舞台に、学校でも人権が無視されていていい加減でホラー小説よりも怖い時代だったんだよ、と訴えたつもりでした。それなのに、まだこれだけ男女一緒に着替えている小学校があると知って、『え!令和でも?』とたまげました」と語る。
今回の記事には、「スポーツは好きだけど、着替えが嫌だから体育が嫌い」という小学生の声が紹介されていた。姫野さんは「そういう子がいまだにたくさんいるのかと思うと、苦しくなります」と表情を曇らせる。
実体験に基づく衝撃的な描写
小説「プールがいや」では、小学生がプール授業前の着替えで、裸を見られたくなくてバスタオルで隠して着替えようとすると、そのタオルをはがそうとする教員が登場するなど、衝撃的な描写が続く。背景には姫野さん自身の実体験があるという。
インタビューでは、1年生と2年生の時の担任の行為を鮮明に覚えていると語り、「『子どもは純粋』というのはメルヘンだ」と指摘。子ども時代に負った「傷」を忘れられるかどうかは、その後の環境や周囲の対応に左右されるとし、自身の創作の動機について「誰のために書くかを常に考えている」と述べた。
教育現場に求められる変化
姫野さんは「学校の体育の授業というのは、着替えも含めて子どもに教える時間だと思うので、そのことも教育現場の人は忘れないでほしい」と訴える。朝日新聞の調査では、全国74市区のうち約5割の自治体で男女一緒に着替える学校が存在することが判明。保護者の声で改善された例もある一方、根深い問題として残っている。
姫野さんの指摘は、単なる着替えの問題にとどまらず、子どもの人権や尊厳をどう守るかという根本的な問いを投げかけている。令和の時代になってもなお続く昭和の遺物に、作家は警鐘を鳴らし続けている。



