オリコンBiZトークでは、日本を代表するミステリー作家・東野圭吾を特集し、週間文庫ランキングを席巻する人気の秘密や、映画化された『白鳥とコウモリ』(幻冬舎)の魅力を深掘りした。番組では、松村北斗と今田美桜がダブル主演を務めた同作の原作を含むあらすじや見どころ、大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)による主題歌も考察された。
週間文庫ランキングで史上最多記録
8月10日付の週間文庫ランキング(集計期間:7月27日〜8月2日)では、東野圭吾作品がトップ10内に5作品ランクイン。第8位に『白夜行』(集英社)、第6位に『容疑者Xの献身』(文藝春秋)、第4位と第3位に『白鳥とコウモリ(下)』『白鳥とコウモリ(上)』(幻冬舎)、第2位に『魔女と過ごした七日間』(KADOKAWA)が入った。
さらにトップ50まで範囲を広げると19作品がランクインし、同一著者によるトップ50以内のランクイン数としてはオリコン史上最多を記録。東野の人気の根強さが改めて証明された。
映画『白鳥とコウモリ』の見どころ
番組で特に注目されたのは、2024年に文庫化され、同年9月4日に映画が公開された『白鳥とコウモリ』だ。松村北斗が加害者の息子、今田美桜が被害者の娘を演じ、豪華な脇を固める俳優陣も話題を呼んだ。原作者の東野自身も「今後の目標はこの作品を超えることです」とコメントしている。
物語は、2017年に東京で起きた弁護士・白石賢介の殺害事件から始まる。捜査が進むにつれ、1984年に愛知県で発生した金融業者殺害事件との関連が浮上し、倉木達郎という男が容疑者として浮上する。倉木はあっさりと犯行を自供し、時効を迎えた84年の事件についても真犯人は自分だと告白する。かつての事件では別の人物が逮捕され、留置所で自殺を図っていたため、倉木はそれを長年後悔していたという。
被害者遺族と加害者家族の協力
倉木の供述は緻密で、動機から時系列まで筋が通っていたが、被害者の娘・白石美令と加害者の息子・倉木和真だけが違和感を抱く。美令は父が圧力をかけるような人間ではないと反発し、和真も父が衝動的に殺人を犯すとは思えないと疑念を持つ。相容れないはずの2人が、それぞれの父親の真実を明らかにするため協力しながら真相に迫る。
この特異な関係性がタイトルの由来で、刑事・五代の相棒・中町は「光と影、昼と夜、まるで白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぼうって話だ」と表現した。作中に登場する五代の「この世の女は全員名女優」というセリフも、証言の裏に隠された真意を見抜く指針として紹介された。
主題歌「灰色」と作品の魅力
映画の主題歌は、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴が書き下ろした「灰色」。遺族と家族が交差する中で生まれる感情や、白と黒だけでは割り切れない複雑な状況を「灰色」という言葉で描写し、映画の世界観に深みを与えている。
『白鳥とコウモリ』は、過去と現在の2つの事件が複雑に絡み合う重厚な社会派ミステリーだ。心理描写や緻密な伏線が張り巡らされており、じっくり読み込むことが求められる大作として、秋の夜長に楽しむのにうってつけの1冊と紹介された。