映画「キングダム 魂の決戦」(佐藤信介監督)が7月17日に公開された。本作は、累計発行部数1億2000万部を超える原泰久原作の人気漫画を実写化したシリーズ第5弾で、興行収入は累計245億円を突破している。今作から初登場となる秦の若き武将・王賁(おうほん)を演じるのは神尾楓珠だ。神尾は「大作なのでプレッシャーはあった。でも、こんなスケールの大きい作品は日本でもなかなかないし、いつか出たいと思っていたのでうれしかった」と語る。
王賁というキャラクターへのアプローチ
王賁は、主人公・信(山﨑賢人)や蒙恬(志尊淳)と同世代で、大将軍を目指す武将。神尾は「冷静沈着だけど、内側には熱さがある。信がいっぱい動くし、蒙恬も身軽だから、王賁にあまり動きはつけなかった。ドシッと構える感じでいられたらいいのかなと」と役作りを説明する。信が下僕からのし上がるのに対し、王賁は名門出身で父は将軍・王翦というエリート。「信を下に見ている部分もあるけど、気になる存在。そのコントラストを意識した」という。
元々好きなキャラクターだった神尾は、「友達から『王賁っぽいからやるんじゃない?』って冗談で言われていたのが現実になった」と笑う。原作での目の強さを意識し、「目力、目の芝居は特に意識してやっていました。戦うとなったときにスイッチが入るというか」。原作を読み直し、アニメを何度も見返してイメージがかけ離れないようにした。
アクションと撮影の苦労
本作では秦対六国の「合従軍編」が描かれ、戦のアクションシーンには苦労した。王賁は槍の使い手で、「槍を扱うのが大変だった。ただ振ることはできるけれど、一手と一手の間の部分が止まってしまうので、その間の埋め方を教わり、頭で考えずに自然とできるようになるまで時間がかかった」と振り返る。普段から槍と同じ長さの棒を借りて、感触や長さを体にたたき込んだ。乗馬も初めてで、「楽しかったけど、ちゃんと馬と意思疎通しなきゃいけないから難しかった」という。
撮影は「すごいスピードで進んでいったので、ついていくのに必死だった」と苦笑。敵対する楚の千人将・項翼を演じる結木滉星との撮影が多く、「元々仲がよかったので、あまり気を使わずにやれたのがすごく大きかった」と語る。
完成作品への感動と充実感
日本を代表する俳優陣が勢ぞろいした本作。完成品を見た神尾は、「麃公将軍がよかった。先頭に立って、荒々しさがあるけど、ちゃんと信のことを見ていて、将軍たるゆえんを感じた」「万極の過去も壮絶で。騰将軍もかっこよかった。見ていてずっとワクワクしている感じです」「キングダムの世界に自分がいるのがうれしかった」と語る。
歴史を描いた大作への出演を終え、「現代劇とは何もかも違うので、ギャップもあって難しい。でもその時代だからこそ演じられるものがある。命を懸けた戦いは歴史物ならでは。すごく面白かった」と充実感を得ている。
原作者・原泰久が語る合従軍編と王賁
原作者の原泰久は、合従軍編について「初めに年表を作った時から、描くのをすごく楽しみにしていた」エピソードと語る。「一番の大花火が上がる場所で、風呂敷を広げるだけ広げた。六国が攻めてきて、秦が絶体絶命に陥る状況を描いたら成功した。そこから結末がピークになるよう、風呂敷を畳む作業にも緊張した」と振り返る。
王賁と蒙恬のキャラクターは、王騎の死後の「王騎ロス」を埋めるために生まれたという。「王騎が美しく散って僕の心もぽっかり穴が開いた。王騎ロス。それを信と同世代のライバルで埋めよう、ファンを増やそうとイケメンの王賁、蒙恬が生まれた」と説明。下僕出身の信と対比するため、いずれも良家の出身にし、王賁はクール、蒙恬は穏やかな性格にした。「(映画で演じる)神尾さん、志尊さんのおかげでさらにファンが増えそうだなと」と期待を寄せる。
原作の今後と実写映画への思い
原泰久は、原作について「さらに加速していく。今度こそ5年で終わる予定です。主要キャラの運命がどんどん動いて、結末を迎える。いろいろな思いを引き継いだ者たちの集大成に注目してほしい」と語る。実写映画の成功は刺激になっており、「原作の方が面白い。負けていられない」と闘志を燃やす。
映画については「前作を超えるに足るものができた。見どころ満載で展開も熱い。ぜひ劇場に足を運んでください」と満足げだ。
神尾楓珠のプロフィルと俳優としての成長
神尾楓珠は1999年1月21日生まれ、東京都出身。2015年にデビューし、フジテレビ系月9ドラマ「ブラックトリック~裁きを操る弁護人~」などに出演。子供の頃はサッカー一筋だったが、限界を感じて芸能界へ。「自分の中で大きく占めていたものがなくなったときに、何か熱中できるものがほしかった。周りの友達がやっていないことをやりたいと思って」と振り返る。俳優業について「いろんな世界を知ることができるので面白い」と語り、今作を通して「スケールの大きい作品に出た経験が、一つ自分の糧になっている」と確信している。公開後の心境については「正直、映画が公開されるまで、そして公開されてからもドキドキ、怖い部分がある。でも、自分でもかっこいい王賁が見たいと思って演じたので、(見た人にも)そう言ってもらえたらいいなと思う」と語った。



