銭湯改修の居場所「まんまぁる」、子どもが自由に過ごし心温まる場に
銭湯改修の居場所「まんまぁる」、子ども自由に過ごす

山口県防府市戎町にある「こころの銭湯 まんまぁる」は、かつて銭湯だった建物を改修した、子どもたちの居場所だ。市民グループ「まんま会」の代表を務める貞平理恵さん(55)が中心となり、月に一度の「まんまスクール」を開催。参加する小学生は自由に遊んだり、おしゃべりしたり、自分のペースで過ごすことができる。

「ありのまんま」を受け入れる場

6月下旬のまんまスクールには9人の小学生が集まった。室内には番台や洗い場、木製ロッカーがそのまま残り、かつての銭湯の面影をとどめる。ボランティアによる石絵の時間には、勉強をする子やアクセサリーを作る子もおり、強制は一切ない。貞平さんは「自分でやりたいことを決めて、どんな自分も『まる』だよ」と語りかける。スクールの目的は「ありのまんまを認め、唯一無二の自分を大好きになれるよう支援すること」だ。

設立のきっかけと父親の影響

グループ設立は2011年1月、貞平さんが小学校教員を育児休業中だったとき。養護学校の教諭と子どもたちの交流を描いたドキュメンタリー映画に心を打たれ、上映会を企画したのが始まりだ。父親は寺の住職で、いじめられて帰ってきた娘をいつも受け入れてくれた存在だった。「豪快に笑い、頭をなでてくれた父。そばにいるとつらさが薄まった。私の居場所だった」と振り返る。父親は設立前年に死去したが、その背中を押されて活動を始めたという。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

教員復帰と活動の変化

上映会は数回開催したが、教員に復帰すると忙しくなり「ありのまんまの自分じゃなくなっていった」と貞平さん。上映会をやめ、月1回のおしゃべり会に切り替えた。続けるうちに、参加者が悩みを話し、弱音を吐いて元気になっていく場に成長。貞平さんは「人は人に救われる」と実感し、人が出会える場所の必要性を強く感じた。

コロナ禍を経て銭湯跡へ

しかし、コロナ禍で活動は中断。集える場所を探していたとき、夫の祖父母が経営していた銭湯跡が目に留まった。2022年に物置となっていた建物を仲間と改修し、「まんまぁる」が誕生した。今年3月末には教員を退職。教頭として教諭を支援する立場から「地域から支えよう」と決断した。これにより、週末だけだったまんまスクールのような居場所を平日も開けるようになり、不登校の子どもに「学校に行かない時間を楽しく過ごしてもらおう」と考える。

15周年を迎え、未来へ

グループは今年、設立15周年を迎えた。6月には記念フェスタを開催し、貞平さんは「子どもからお年寄りまでごちゃまぜでいられる場にしたい。あってよかったと言われるような居場所に育てていきたい」と語った。フェスタでは訪れた人の笑顔に囲まれ、将来像をこう語った。「銭湯に入った後のように、心がポカポカになって帰ってほしい」。

貞平さんは1971年3月生まれ、山口県平生町出身。実家は約1400年以上続く古刹。大分大学教育学部卒業後、周南市や防府市などで小学校教員を務め、宇部市立東岐波小の教頭を最後に退職。長男が不登校だった経験を通じて学んだことや、まんま会の活動について講演も行っている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ