「夢やと思いました」――ビートルズ来日がもたらした衝撃
1966年6月29日、ビートルズが初来日を果たした。彼らが羽田空港に降り立った瞬間、日本中が熱狂の渦に包まれた。しかし、その一方で大人たちはビートルズを「野蛮」「不良」と嫌い、警備には実に3万5000人が動員された。日本武道館で行われた公演は、社会現象を巻き起こした。
若者を魅了した双方向の音楽
ビートルズの音楽は、それまでの共感を呼ぶスタイルとは一線を画していた。『ラヴ・ミー・ドゥ』では「僕たちを愛して」、『プリーズ・プリーズ・ミー』では「おいでよ、僕たちを喜ばせてよ」と語りかけ、『オール・マイ・ラヴィング』では「目を閉じてキスをするから」と甘く囁く。これらは双方向のコミュニケーションとして若者に響き、彼らは「自分たちを子ども扱いせず、一人の人間として見て、肯定してくれる存在」としてビートルズに夢中になった。
『ア・ハード・デイズ・ナイト』が映した素顔
ビートルズ初主演のドキュメンタリー風映画『ア・ハード・デイズ・ナイト』は、彼らのリアルで目まぐるしい日常をユーモアたっぷりに描いた。ファンは耳だけでなく動く姿でビートルズを楽しめるようになり、より身近に感じられる仕掛けが満載だった。岡本さんはこの映画を294回も観たという。
映画の冒頭、スーツ姿のジョン、ジョージ、リンゴがカメラに向かって走ってくる。ファンに追われているようで、ジョージとリンゴが転び、振り返ったジョンが笑う。別の場所ではポールがしかめっ面の中年男性の隣で新聞を広げて顔を隠す。フレッシュさとチャーミングさ、疾走感が詰まった2分間だ。
大人たちへのユーモアとウィットで切り返す
映画の中で、4人がラジオの音楽を楽しんでいると、紳士が突然電源を切る。すると4人は立ち上がり、ガラス越しに縦に並んで変顔をしてサヨナラする。プロデューサーらしき中年男性のVネックセーターを指差して「これは奥さんが選んだの?」とツッコむシーンもある。傷病兵の包帯を巻いている腕にケチャップをかけ、指で救ってペロッとなめる場面も。こうしたユーモアとウィットで大人社会に「NO」を突きつけた。
警備3万5000人の武道館公演
日本武道館での公演は、警備に3万5000人が動員される異例の事態となった。当時の大人たちはビートルズを「不良」とみなし、若者の熱狂を危険視した。しかし、ビートルズの音楽は世代を超えて愛され、その影響は計り知れない。彼らの来日は、日本の音楽シーンに革命をもたらした。



