蒼井優の凄みが光る『Tシャツが乾くまで』 透明感とくすみが共存する演技
蒼井優の凄み『Tシャツが乾くまで』透明感とくすみ共存

TBSの7月期金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』で、登場人物たちの言動に賛否両論が巻き起こっている。コラムニストの木俣冬氏が、主演の蒼井優の演技を中心に分析した。

「透明感があるのにくすんでいる」蒼井優の魅力

蒼井が演じる咲子は、社会的には自立しているが家ではズボラという属性を持つ。一見「ドジかわいい」型にはまりそうになるが、絶叫の声が大きすぎて異様さが際立つ。一方、中島演じる樹生は誠実で繊細に見えて、他者との境界線をうっかり踏み越えるノンデリな人物として描かれる。

木俣氏は「真っ白で皺ひとつない買いたてのTシャツではなく、洗濯するごとにくすんでくるTシャツのような人間たち」と表現。電化製品もメンテナンスしないと快適に稼働しないように、ドラマでは「フィルターに糸くずが絡まる洗濯機」をモチーフにしているという。

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「“蒼井優”化」という新たな表現

木俣氏は、蒼井の演技を「何度洗濯しても丈夫で、むしろ洗うごとに風合いの出るリネンのシャツのような野性的なたくましさ」と称賛。透明感とくすみという相反する要素が共存する蒼井優という俳優について、第2話で樹生が言った「羨ましいと憎たらしいが同居した感情に名前がある」という台詞を引き合いに出し、ありえないものを共存させさらに巨大化することを「“蒼井優”化」と呼びたいと述べている。

この“蒼井優”化はNetflixの『ガス人間』でも発揮されている。同作は東宝が1960年に製作した映画『ガス人間第一号』のリブートで、名称や刑事・ジャーナリストという設定を借りつつ、ほぼ新しい作品に仕上がっている。

容易にカテゴライズできない雰囲気

『Tシャツが乾くまで』は、不倫という感情や行為にしても「同じ境遇で意気投合して喪失を埋めるように惹かれ合った」のように誰もが容易に言語化できるものにしない挑戦をしている。その気迫がドラマの隅々から漂っていると木俣氏は指摘する。

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