介助に謝る夫に「助け合うため結婚したんだよ」 俳優・東ちづるさんが語る対等な関係
介助に謝る夫に「助け合うため結婚したんだよ」 東ちづるさん

俳優の東ちづるさん(66)は、自分の意思と関係なく筋肉が収縮する病気「ジストニア」を患う夫の堀川恭資さん(64)とともに暮らしている。「介護が必要な人とふだんと変わらない関係性を維持し、社会とのつながりも絶たないことが大事」と語る。

病名判明まで2年、夫の不安に向き合う

夫の体に異変が起きたのは2009年頃。首などが後ろに引っ張られるように動かせなくなり、体を支えたり、食事を手伝ったりする介助が必要になった。翌年からは2人でさまざまな病院や診療科を巡ったが、異常なしと言われたり、別の病気と診断されたり。薬を飲んでも症状は改善せず、精神科を勧められたこともあった。病名が判明するまでに2年かかった。

東さんは医療の支援活動の経験から、いずれ病名はわかるだろうと思っていたが、夫は不安だったようだ。毎日のように「治るかな」と尋ねる一方で「もう疲れた」と言うため、しばらく病院回りを控えた時期もあったという。

「仕事を辞めてほしい」と言われたこともあった。その時、「仕事を辞めて私がやりたいことを諦めたら、いつかあなたの病気やあなたを恨むようになるかもしれない。お互いに応援する関係でいたい」と伝え、何度も話し合った。

対等な関係を保つための言葉

介護で気をつけていたのは、対等であること、力関係で自分が夫の上に立たないことだった。一度、東さんの母が夫を介助した際、夫が「申し訳ない」と言った。それを聞いた東さんは「もし私が病気で働けなくなり、あなたに『申し訳ない』と言ったらどう思う?」と尋ねた。夫が「そんなのはだめだ」と言うと、「こういう時に助け合うために結婚したんだよ」と話した。

介護されている人が罪悪感を抱えて苦しんでいる時、理屈で話すことが大事だと考えている。「抱き合って泣くよりも、論理的な言葉の方が理解し合えるのではないでしょうか」と語る。

介護を受けている人が社会とつながっていられるようにすることも大事だ。夫はもともと社交的で、休日に自宅でパーティーを開くなどしていたが、病気で弱った姿を見られたくないと友人らと疎遠になった時期があった。東さんは「よくないな」と思い、こっそり友人に声をかけて家に来てもらい、会わせたところ、いつものように会話が盛り上がり、夫は「案外大丈夫だった」と話した。その後はいろんな人に会えるようになり、気持ちの張りにつながったようだ。

完治しない病気とともに、夢はキャンピングカーで日本一周

夫の病気は今も完治していない。それでも、病名もわからずほぼ寝たきりで苦しんでいた時と比べれば、車いすに乗ったり、伝い歩きをしたりできるようになった。今年2月には、夫と2人きりで韓国旅行に行くこともできた。

夢はキャンピングカーで日本一周することだ。車で寝泊まりしたり、温泉旅館に泊まったりする行き当たりばったりの旅を「今の状態なら行けるね」と2人で話している。

「ケアラーとしての人生を送らずに済むのであれば、その方がいいと思います。血縁関係があるから、親だからといって、介護を背負い込む必要はありません。私はできる範囲でしているだけで、大変だったらプロに頼んでいます。1人で抱え込まず、一度きりの人生を大切にしてください」と話した。