ミャンマー・ヤンゴンで和食店「角 ホーン」を営む大舘堯(おおだて・たけし)さん(78歳)は、2021年の軍事クーデター以降も店を閉めず、経営を続けている。理由は「利益よりも、従業員とその家族を守ること」だと語る。
人手不足を契機にミャンマー人従業員との縁が生まれる
大舘さんは東京・新宿で焼肉店を成功させた後、虎ノ門エリアに進出。虎ノ門ヒルズ近くに4フロア約150席の大型店を構え、肉料理に特化した店舗は人気を博した。しかし、次第に日本人従業員の確保が難しくなり、人手不足に悩まされるようになる。
そんな折、縁あって一人のミャンマー人を採用。その従業員は非常に勤勉で、他の従業員が辞めるたびに友人や知人を紹介してくれたという。「気が付けば、店には多くのミャンマー人従業員が働くようになっていました。当時は外国人労働者の活用が今ほど一般的ではなく、人材紹介会社を使う必要もありませんでした」と大舘さんは振り返る。
ミャンマーとの絆が深まり、ヤンゴン出店へ
大舘さんは旅行でミャンマーを訪れるようになり、かつて日本で働いていた元従業員たちと再会。彼らの家に泊めてもらうなど、雇用主と従業員の枠を超えた深い信頼関係が築かれた。2010年の総選挙後、ミャンマーが民政移管し経済開放が進む中、大舘さんはヤンゴンへの出店を決意する。
「結局は人との縁ですよ」と大舘さんは語る。軍政下でも店を閉めず、従業員とその家族の生活を守るために経営を続ける姿は、多くの人々に感動を与えている。



