おとぎ話に登場するファッションに注目した展覧会「おとぎの国のモードをさがして Fairy Tale MODE」が千葉市美術館で開催中だ。
赤ずきんのフードやシンデレラのドレスといった印象的な装いは、登場人物がどのような存在かを示す重要な要素だ。展覧会では、製本技術が発展した19~20世紀頃にヨーロッパで描かれた挿絵本や版画、ドレスなど計約180点を紹介している。
ウォルター・クレインの「シンデレラ」
印象に残ったのは、19世紀後半にイギリスで活躍し、現代の絵本の基礎を築いたウォルター・クレインが1873年に描いた「シンデレラ」の挿絵だ。舞踏会の場面で、主人公は腰の後ろを膨らませたドレスを着ている。虐げられていた主人公の変身や回復を象徴する装いだ。1870、80年代に流行した、スカートにバッスルと呼ばれる腰当てを付けたスタイルで、クレインが流行の装いを物語に投影していたことがうかがえる。
同じ展示室では、18世紀ロココ時代のフランスの宮廷服や、第2次大戦後、女性に着飾る喜びを届けたクリスチャン・ディオールらが手がけたドレスも展示されている。シンデレラのドレスのように、女性を勇気づけてきた実際のドレスを目にすると、物語の想像も膨らむ。
「眠れる森の美女」と「赤ずきん」
「眠れる森の美女」に登場する女性たちは、古代ギリシャの衣服を思わせるドレープの衣装をまとう。100年の眠りから目覚める王女の時の流れを、古風な衣装で示している。
フランスのデザイナー、ポール・ポワレは、「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」から着想を得たペルシャ風の衣装を1911年にデザインした。
クレインによる「赤ずきんの絵本」には、金髪に赤いフード付きコートを着た少女が描かれている。ゆったりとしたドレープのコートは19世紀後半に広まった体を締め付けない優雅な装いの影響がみられるという。
学芸員のコメント
学芸員の山下彩華さん(34)は「展示を通してそれぞれの時代の美意識や流行がおとぎ話のイメージを形作り、おとぎ話がデザイナーらの着想源になってきたことも感じてほしい」と話す。
展覧会は8月30日まで。



