2026-27年秋冬パリ・オートクチュール(高級注文服)コレクションが、7月6〜9日にパリ市内で開催された。連日30度を超える猛暑の中、30ブランドが公式参加した。
バレンシアガ:新デザイナーの初コレクション
バレンシアガは、ピエールパオロ・ピッチョーリさんがデザイナーに就任して初のオートクチュールコレクションを発表。炎天下でショーを行い、強い日差しにも負けないエネルギッシュな色遣いが新鮮な印象を放った。
「布の彫刻家」と称えられた創始者の作品を研究し、くびれたウエストや丸みのあるシルエットを、先端技術で軽量化した張りのあるシルクで再現。背中が膨らんだコートや、後ろの裾が引きずるほど長いドレスなど、たっぷりとしたボリュームの服をネオンカラーで軽やかに見せた。
シャネル:童話から着想
シャネルは童話「ジャックと豆の木」などから着想を得た。会場には、緑のつるに毒々しい色の食虫花が咲き乱れるセットを制作。スーツには、ドレスに使うような柔らかで透けるシルク生地を使用し、レースや刺しゅうの縁飾りを施した。伝統を基に新しさを探求するブランドの実験的精神を、少年ジャックの冒険心と重ね合わせた。
ジャンポール・ゴルチエ:18世紀をテーマに
ジャンポール・ゴルチエは、デュラン・ランティンクさんが初めて手がけた。18世紀をテーマに、マリー・アントワネットも着たローブ・ア・ラ・フランセーズ(フランス式ドレス)や、膝丈のスリムなキュロットパンツ、サテンのリボンの髪飾りなどをユーモラスに再現。3Dプリンターと成形しやすい合成素材を用いて、18世紀の宮廷衣装をパロディー化した。
今年は18世紀をテーマにした展覧会がパリ市内の美術館で相次いで開催され、ブルボン王朝やベルサイユ宮殿など、フランスの芸術文化が最も美しく花開いた時代に注目が集まっている。オートクチュールも、18世紀の贅を尽くした王侯貴族の文化を礎に発展してきた。世界的なインフレや戦争、気候変動に揺れる現代。つかの間であっても、人々に日常を忘れさせ、夢や希望を与えるオートクチュールの存在意義を改めて実感した。



