累積赤字1700万円から黒字化——奈良シニア大学の軌跡
奈良シニア大学を運営する矢澤実穂代表は、累積赤字1700万円を抱えながらも、自らの信念でスクールを黒字化に導いた。平均年齢74歳、約350人の学生が通う同大学は、高齢者の学びと交流の場として注目を集めている。
シニア大学立ち上げの原点——介護現場での葛藤
矢澤さんはかつて高齢者向け介護施設で働いていた。そこで直面したのは、利用者の死だった。ある男性は最期に「カレーが食べたい」と叫んだが、身体の状態から食べさせてあげられなかった。また別の男性は「他人の世話になるくらいなら」と自ら命を絶った。遺された家族の姿に、矢澤さんは「人の死に慣れたくない」と強く思ったという。
自腹からのスタートと累積赤字1700万円
矢澤さんはシングルマザーとして「限界集落」を出て、シニア大学を立ち上げた。初期は自腹で運営し、累積赤字は1700万円に達した。それでも無給で働き続けた矢先、寄付が寄せられ、徐々に軌道に乗った。1期生には有名企業のトップ経験者も含まれ、熱気あふれる学びの場が形成された。
なぜスクール運営だったのか——居場所づくりの哲学
矢澤さんは「誰にも話したことはなかった」と振り返る。福祉の現場はきれいごとでは済まない連続だったが、シニア大学という「居場所」を創り上げることで、高齢者が生き生きと過ごせる環境を提供している。現在は黒字化を達成し、学生たちの笑顔が絶えない。



